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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第46話:透の選択
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。アルドの言う通り過去が牙を剥くか、目を背き続けた過去が気になって本当の意味で心が安らぐことはない。
透が過去を話そうとしているのはそれが分かっているからであり、また自分が過去を少しでも乗り越えることでクリスにも過去を乗り越え前へと進んでほしいと願っているからであった。
「透────!」
クリスは改めて透の強さを認識した。彼は本当に強い。逃げる事しか考えなかった自分に対し、過去と向き合い前へと進み続けようとするとは。
彼の強さに感心を抱いたのはウィズも同様であった。自分の為ではなく、他人の為に己の過去を乗り越えようとするとはなんと強い心の持ち主なのだろう。
そんな風に感心するウィズに気付いているのかいないのか、透はクリスと再会する前…………ジェネシスに保護されてからの事をメモ帳に記し始めた。
***
バルベルデで武装組織の心無い者に喉を掻き切られ、生死の境を彷徨っていた透はギリギリのところでメデューサに救出された。
その後、彼は最低限の応急処置だけを施された後、その時集められていた多くの者と共にサバトに掛けられた。素質はあったが既に虫の息だった彼が魔法使いとして覚醒する保証がなかったので、メデューサも適当な手当だけで済ませていたのだ。
覚醒すればその瞬間活性化した魔力で死は免れるだろうし、覚醒しなければ手当しても無意味だからだ。
幸か不幸か、生死の境を彷徨う程意識を失っていた事で透はサバトを行う際に伴う地獄の苦痛を知る事は無かったのである。
「よくぞ目覚めた。喜べ、お前は魔法使いとして生まれ変わったのだ」
目覚めた透に、メデューサが最初に掛けた言葉がそれである。突然魔法使いとして生まれ変わったと言われても訳が分からなかった透だが、ドライバーと指輪を渡され魔法を使わされたことで自分の現状を嫌でも理解させられた。
自分の声と、夢が永遠に失われたことも、だ。覚醒の瞬間の魔力は彼を死の運命からは救ってくれたが、声までは取り戻してくれなかったのである。
声が失われた事で意気消沈した透だったが、彼にはまだ希望があった。クリスだ。共に夢を誓った彼女がいてくれれば、彼には生きる価値があったのだ。
早速メデューサに筆談でクリスの事を訊ねる透だったが、素質を感じさせなかったクリスには興味が無かったので意識していなかったのである。
その事を聞き再び消沈する透だったが、そんな彼に声を掛けたのがワイズマンであった。
「安心しろ。お前の言うクリスとやらは生きている。だがこのままでは彼女は過酷な人生を歩むであろうな」
自身の希望である少女が過酷な目に遭うと聞かされ、何とかならないかと縋る透。
そんな彼にワイズマンは、優しく導く様に話し掛け
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