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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第46話:透の選択
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問い掛けを口にすると、明らかに透の表情が強張った。その表情には明らかに後悔と自己に対する嫌悪が表れており、彼にとってはそれに関わる事は忌まわしい記憶であることが伺えた。
それを理解していながら、ウィズが追い打ちをかける様に問い詰めた。
「ふむ、それは確かに気になるな。ジェネシスの魔法使いは洗脳されワイズマンを裏切る事はしない。何故君は、自らの意思で組織を抜ける事が出来た?」
ウィズから見て、透が嘘を吐いているようには見えなかった。2人がメデューサ達に命を狙われたのは演技ではないだろう。
だがだとすると、彼が組織を抜ける事が出来たことそのものが不自然であった。彼からすればあり得ない事態である。
もしかすると、彼がウィズに助けられることもジェネシスの描いたシナリオかもしれない。そう考えると、こうして透と共に居ること自体かなり危険な事である可能性があった。
警戒心を交えてウィズが透を見据えると、透はその視線から逃れようとするかのように顔を逸らした。辛そうにする透を見て、クリスが彼を庇う様に2人の間に割って入った。
「もういいだろ!? お前らが聞きたいのは魔法使い連中の事であって透個人の事じゃない筈だ!?」
「連中にも関わる事だから聞いておきたいんだ。もし理由があまりにも曖昧だった場合、ここにこうしている事も連中の差し金によるものである可能性だってある」
「そんなのそっちの都合だろ!? もういい加減あたしと透の事は放っておいてくれ!?」
クリスはもううんざりだった。大人の勝手に振り回され、命まで狙われ、挙句の果てに思い出したくない過去の記憶をほじくり返されようとしている。
いい加減、我慢の限界だ。
しかし、透の方はそうではなかった。彼は憤るクリスの肩に手を置くと、静かに首を左右に振った。
「え、何でだよ透!?」
「…………」
「こんな奴らに付き合う必要はねえ!?」
「…………」
「そんなのどうでもいい!? 透が昔何してたかなんて──」
必死に透を思い留まらせようとするクリスだが、それまで静観していたアルドがここで口を挟んだ。
「クリスさん、落ち着いてください」
「ッ!?」
「彼が……透君が頑なに過去を話そうとしているのは、他ならないあなたの為なのですよ」
「あたしの、為────?」
訳が分からないと言いたげなクリスに、アルドは優しく丁寧に言葉を続けた。
「クリスさんのお気持ちは分かります。透君の過去に頓着せず、彼の全てを受け入れようとしているのでしょう。ですがそれでは…………前へ進む事は出来ず、いずれ必ず目を背けてきた過去が牙を剥き平穏を奪い去るでしょう」
過去を無かったことには出来ないし、過去から目を背け続けて進展することは絶対にない
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