第七話 崩壊
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た。
声の主と親を失った自分を。
体が動いてしまった。
声の主にあの感情を味わってほしくなかったから。
家の影から飛び出す。
何体かのゴブリンが親子を取り囲んでいた。
父親らしき人物が倒れている。
石畳を疾駆した。
一番近くにいたゴブリンの頭を切り落とす。
血が噴き出た。
俺の襲撃に気づいた他のゴブリンが一斉にこちらに剣を向ける。
だが俺の攻撃は止まらない。
勢いのまま真横へ振りかぶる。
《ホリゾンタル》と呼ばれていたソードスキルを食らったゴブリンは、腰から真っ二つになった。
間髪入れずに遠くにいて油断していたゴブリンに突進技・《ソニックリープ》をお見舞いする。
一気に三体も殺され、ビビったのか他のゴブリンは逃げていった。
おそらく仲間を呼びにいったんだろう。
一刻も早くこの場から離れる必要がある。
倒れていた父親を服を千切って止血し、肩を貸し立ち上がる。
「大丈夫か?」
「アンタは……ベクタの迷子の……」
「ヤツらがまた来る。急いで離れるぞ」
「わかった……」
男は懸命に足を動かしているが、思うように動かないらしい。
俺は引きずるようにして歩く。
「に、兄ちゃんっ!! 後ろからアイツらがっ!!」
もう仲間を呼んできたのか!?
かなり身軽らしい。
男を道から見えないところに座らせる。
止血したとはいえかなり血が流れてしまったらしい。
もう意識がない。
俺は少年の肩を掴んだ。
「いいか? 俺がヤツらを別の場所へ誘導する。お前は父親を連れて、ギガスシダーへ向かうんだ。あそこにはユージオがいる。守ってくれるはずだ」
「そんなこと……できないよ」
「父親が亡くなってもいいのか?」
「そんなの、いやだ!」
「なら、頑張るしかないだろ?」
少年は瞳に残った涙拭い、覚悟を決めたようだ。
「じゃあな。父親のことは頼んだぜ」
「うん!」
力強い返事を背に受けながら、表へと躍り出る。
そしてゴブリンどもに中指を立てた。
「かかってこいよ低能ども。皆殺しにしてやる」
挑発が効いたのか、優に数十を超えるゴブリンが青筋をたて一斉に襲い掛かってきた。
俺は親子の進行方向とは逆向きに走り出す。
当然ゴブリン共も追いかけてくる。
あの場所から十分離れたのを確認してから、後続のヤツらに三連撃技・《シャープネイル》をお見舞いする。
仲間が目の前で殺されてもコイツらには一切動揺はなく、次々と襲い掛かってきた。
殺しても殺しても、コイツらはゴキブリのように湧いてきた。
長時間の戦闘のせいで体に疲労が溜まり、意識が散漫
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