第七話 崩壊
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ユージオ」
「どうしたの?」
「なんかあそこ、煙が立ってないか?」
俺が指を指した方角に、ユージオは目を凝らした。
「本当だ。しかもこれ、村の方だよ!」
「なに!?」
確かによく見ると、ルーリッド村からあがっているように見える。
「前に村で火事が起こったときも黒い煙が立っていたんだ。今回もそうかもしれない! 急いで村に戻ろう!」
「ああ」
同時に駆け出した。
いつもは歩いている道を、全力で駆け抜ける。
胸騒ぎがした。
足が悲鳴を上げていても、走り続ける。
不安に駆られた。
空が橙に染められるも、ひたすらに足を動かす。
状況は全く違うはずなのに。
なぜかあの日と。
同じことが起きる気がした。
石造りの橋を抜け。
茫然とした。
「な、なんだ、これ……?」
村が、破壊されている。
扉や窓は壊され。
家が燃えている。
そして、村をわが物顔で闊歩する小人。
いやあれは、そんな生易しいものじゃない。
あれはまるで、物語に出てくる《ゴブリン》のような。
突如、悲鳴が上がる。
その声に跳ねられるように、硬直していた体を動かす。
そして隣で言葉を失い、凍り付いているユージオを家の裏まで引きずる。
「ユージオ」
「ぼ、ぼくは……どう、して」
「ユージオッ!!」
肩を掴みながら、怒気を強め呼びかける。
「カ、ガト」
「息を吸え。大丈夫だ。俺がいる」
ユージオは息を吸った。
なんとか会話できるくらいには落ち着いた。
「ユージオ。お前は来た道を引き返すんだ」
「何を言ってるのカガト!? みんなを助けないと!」
「俺が村の人たちを助ける」
「え……?」
「今思い出したんだけど、俺は剣士だったみたいだぜ。しかも凄腕の」
「なんだい、それ」
「俺ならアイツらを全員殺せる。けど、守りながらだと少しキツいんだ」
「君は、なにを……!」
「だから、ユージオが守ってくれ。村の人たちを」
ユージオが目を見開いた。
「助けた人をギガスシダーに誘導する。ユージオは斧を持って、彼らを守ってくれ」
「そんなこと、できないよ……僕は、アリスすら守れなかった」
「今のお前ならできると信じてる。そんな俺を、ユージオは信じてくれないか?」
一瞬の逡巡。
ユージオは力強く頷いた。
「気を付けろ」
「カガトも」
拳を突き合わせ、ユージオは駆けていく。
家の裏から、様子を伺う。
どうやらゴブリンどもは単独で行動してい
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