第六話 約束
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はり俺は、この二人の溝を少しでも埋めてあげたいと思っている。
俺が、二人の傍にいられなくなってしまったときのために。
「なぁ、ユージオ」
「ん、どうしたの?」
「ユージオは央都に行きたいんだろ? アリスを助けに」
「カ、カガト? なな、なにを言ってるんだい? 僕は別に、央都に行きたいなんて思ってなんか……」
「なら物置においてあるあの剣はなんだ? どうしてあんな重いモノを三か月もかけて運んできたんだ?」
「そ、それは………………僕にも、よく、わからない」
きっとユージオの中で、ブレーキがかかっているんだろう。
もしここで認めてしまえば、天職を放棄したいと言っていると同義になる。
「セルカ」
「な、なに?」
「禁忌目録には、夢を語ってはいけない、なんて決まりが存在するのか?」
「え? そんな決まりなかったと思うわよ? でも、なん……」
「だとさ、ユージオ。だから教えてくれ、お前はどんな夢を持っているんだ?」
ユージオは狼狽した。
心の中で葛藤しているのだろうか。
「俺はユージオの本音が聞きたいんだ」
「……………僕は、アリスを………………助けに行き、たい」
絞り出すように、ユージオはそう口にした。
この世界の人間は、なぜか決まりを破れない。
原理はわからないが、きっとユージオの中ではアリスを助けに行きたい気持ちと、決まりを破ってはならないという感情がせめぎ合っていたはずだ。
助け船は出したが、それでも最終的にユージオはアリスを助けることを選んだ。きっとこれでユージオは前に進める。
「お前の夢を手伝うぜ、ユージオ」
「ほ、本当かい!?」
「ああ。ユージオには返しきれない恩があるし、なにより俺の親友だからな」
「ありがとう!! カガト」
「セルカは、どうする?」
ユージオのやり取りを黙ってみていたセルカに言葉を向ける。
「どう、って………?」
「セルカも、ユージオを手伝わないか?」
「え……?」
「俺はまだまだこの村には疎い。もし知識不足で困ったとき、セルカの力を借りれればこんなに心強いことはない」
少し強引な勧誘だが、もし乗ってくれれば二人の溝が埋まるかもしれない。それに夢を知っている人がいれば、ユージオもある程度安心できるはずだ。
そしてセルカも、今まで避けられていたユージオと会話を重ねることが出来れば、姉と比べられる視線が気にならなくなるかもしれない。
懸念があるとすれば――
「………ユージオは、良いの……?」
――ユージオがセルカにアリスを重ねてしまわないか、だろう。
ユージオの辛い気持ちもわかる。俺も経験してきた
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