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キリトである必要なくね?〜UW編〜
第四話 青薔薇
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オの忠告を心に留めながら、紐を外し、革袋を下にずらしていく。

 俺は息をのんだ。
 現れたのは、一振りの長剣だった。
 柄は精緻な細工が施された白銀製で、握りにはきっちりと白い革が巻かれている。護拳には植物の葉と蔓の意匠が凝らされており、握りの上部には青い薔薇の花が施されている。

「《青薔薇の剣》。本当の銘かどうかわからないけど、おとぎ話じゃそう呼ばれてる」

「そのおとぎ話って、『ベルクーリと北の白い竜』ってやつか?」

「そうだけど……よく知ってるね」

「昨日、セルカが子供たちに聞かせてたんだよ。確かベルクーリって剣士が果ての山脈で白竜に出会うんだったか」

「そう、そのとき白い剣を見つけて拾い上げようとしたら、白竜が目を覚まして……」

「そのおとぎ話に出てくる剣が、この剣だっていうのか?」

「おそらくね。六年前、果ての山脈に探検しに行ったとき、この剣の上には刀傷がついた骨の山があったから」

「それはつまり、白竜は誰かに殺された……?」

「解らないけど……おそらくね」

 ユージオは仄かな感傷の滲む声で続けた。

「その帰り道、僕とアリスは間違えて闇の国側に出ちゃったんだ。あとは昨日話したとおり」

「なら、なんでこの剣がここにあるんだ?」

「一昨年の夏、もう一度北の洞窟まで行って、持ってきたんだ。安息日に少しずつ運んで。……なんでそんなことしたのか、自分でもよく解らないんだけどね」

 おそらくユージオは、許せなかったのだろう。
 アリスを連れて行った、整合騎士を。
 アリスが連れていかれるのを、黙って見いていた自分を。

 だからこそ、この剣を苦労しながらもここまで運んできた。整合騎士に抗う手段として。

「そろそろ帰ろうか。もうすぐ日が沈む」

「……そうだな」

 ユージオに首肯し、俺たちは帰路へと就くのだった。



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