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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
なんにせよあたしは 旧友から託される
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したし、行こうぜ先生と言い宮本は図書館を去っていく。
ああやって無駄にかっこつけるのも、昔と変わらない。

「じゃあな!」
「おう、式部さんと幸せにな…宮本圭一はクールに去るぜ…。」
(幸せに…?)

なんなんだそのセリフ、
さて、こうして清掃作業はこのメイド型ゴーレムもとい式神ゴーレムに任せるとしてだ。

「夢…叶いそう。」
「ですね。」

ソファに腰掛ける香子の隣に座る。
肩によりかかると、花のような優しいにおいがした。

「図書館が出来たら…まずなにしよっか。」
「やはり本の貸し出し…でしょうか?」
「客来ないんじゃない?」

その通りですね、と香子は笑う。
手と手が触れて、互いに握り合う。

「でもしばらくは来なくていいや。」
「本を…お書きになるからでしょうか?」
「ううん…違うかな。」

この図書館には、誰もいない。
そう、式神ゴーレムはただのゴーレムだし、あたしと香子の2人だけの時間を邪魔するものは…ここにはいない。

「こうやって2人きりの時間を…過ごしたいから。」
「…。」

香子は何も答えなかった。
でも、あたしの肩に寄り添い、互いによりかかる形になる。

「名前…考えなきゃね…。」
「ええ…どうしましょうか?」

小さい頃から利用していたこの図書館。
けど、今日からここはあたしの図書館になった。
いや、違うかな。
あたしと香子の図書館

「"葵紫"…。」
「"きし"…ですか?」
「うん…すっごく単純だけど、あたしの葵と香子の紫で"葵紫"。葵紫図書館」

2人だけの図書館なんだ。
せっかくだから2人の名前を刻む。
葵紫図書館。うん。悪くない。
そう思いながら、ただあたしは何もせず香子と一緒にただ過ぎ行く時間を過ごすことにした。


?

一方その頃。

「マスター。」
「え、なんすか先生。」

帰路についていた宮本とアヴィケブロンの2人。
しばらくは何も話さず歩いていたがアヴィケブロンが口を開いた。

「僕も気になったのだが、どうして彼女にあそこまで優しくするんだい?」
「まぁ、友達だからっすかねぇ…。」

と、当たり前のように答える宮本。
だが、

「というのは建前でして。」
「建前…?友達というのがかい?」
「んまぁなんといいますか…俺は…女の子は好きですけどそうじゃないんすよ。」
「?」
「女の子同士がいちゃついてるのが…大好きなんですよ。」
「…なるほど。」

友達だからというのはあくまで表の理由。
本来の理由は別にあった。

「俺が好きなのは葵じゃない。女の子と仲良くしてる葵が好きだったんですよ。」
「うん。合点がいった。だからマスターは女性同士の恋愛漫画をコレクション
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