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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン30 幻影の最終防衛ライン
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ルが成立する。当然糸巻自身も隙あらばその方法での勝利を狙ってはいるのだが、先ほどのターンと同じように彼女の引きがいくら強いといっても、そう都合よく奇跡が起こせるほどのレベルには達していない。
 しかし、それで十分だった。幸運の女神は明確なキスではなく、ただ微笑みだけを残していく。それを見逃しはしないのが、この糸巻だ。

「死霊王 ドーハスーラ……よし。なら居合ドローの更なる効果により、今落とした数と同じ枚数のカードを墓地からデッキに戻す。バージェストマ・ハルキゲニア、不知火の宮司、不知火の武部、黄金の封印櫃を戻させてもらうぜ。生あるものなど絶え果てて、死体が死体を喰らう土地。久々にアタシの領土に案内してやろう、アンデットワールド!」

 幻影騎士団ラスティ・バルディッシュ 戦士族→アンデット族
 幻影騎士団ティアースケイル 戦士族→アンデット族
 覇勝星イダテン 戦士族→アンデット族

 全ての生命の輝きが塗りつぶされて、不浄にして不条理な動く死骸に書き換えられる土地。生命への冒涜に満ちていながら、それでいて同時に最も生命らしい動乱の巻き起こる場所。そこではあらゆる理不尽が道理に置き換わり、理屈は偏屈に入れ替わる。
 そしてその全てを統べる女帝こそが、糸巻太夫という女だった。

「さあ、とっとと終わらせようぜ?墓地から妖刀−不知火の効果を発動!このカードとアンデット1体を除外することで、そのレベル合計と等しいレベルのアンデットシンクロモンスター1体を特殊召喚する。アタシが選ぶのはレベル4、不知火の隠者だ」

 先ほどラスティ・バルディッシュによって折られてそのままになっていた妖刀の切っ先が、触れる者もいないのにふわりと宙に浮く。その周りをどこからともなく点火した炎の渦がぐるりと囲み先ほど消滅したはずの部分が、そしてそれを掴む新たな使い手の腕が、炎の中で形になっていく。

戦場(いくさば)切り込む(あやかし)の太刀よ、一刀の下に輪廻を刻め。逢魔シンクロ、レベル6。刀神−不知火!」

 ☆4+☆2=☆6
 刀神−不知火 攻2500

 超常的な炎の力によって完全に修復された不知火と、それを手にする炎の中から現れた壮年剣士。しかし、まだ足りない。この力だけでは、まだ届かない。その時、刀神の手にした妖刀がひとりでに更なる炎をその刀身に纏った。

「ゲームから除外された不知火の隠者は、同じく除外された不知火1体を帰還させることができる。復活、妖刀−不知火!」

 妖刀−不知火 攻800

「チューナーの帰還、か」
「さあ、連続シンクロといこうじゃないか。レベル6の刀神に、レベル2の妖刀をチューニング!戦場に影落とす妖の魔竜よ、光と闇の狭間を溶け合わせろ!シンクロ召喚、レベル8!混沌魔龍 カオス・ルーラー!
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