ツインズ×戦士達
SAO番外-兄貴
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のかな?サチが生存できた可能性の未来を、私は逃げることで潰してしまった。
味の感想を聞かれるサチはもういない、はずなのにここにいるサチは味の感想を聞かれた。
「おかしいよね。一番幸せになって欲しかった人が、そうしているのに……それが怖いって、どうかしているよね……わかんない、わかんないよ……こんなのおかしいって分かっているのに……」
自分の中の自分の知らない部分に恐怖する叫び、原因の分からない感情への戸惑いは、私を混乱させる。
私は……サチを…………どうしたいの?
「……ねぇ、従兄……」
「ん……」
戸惑いの感情は違う言葉へと形を変えて、従兄に訊ねた。
「従兄はさ。さっき“お前も”って、言ったよね……じゃあ、同じような事がこの世界でもあったんだよね……?」
「……あぁ」
従兄の話では“同じような”所ではないらしい。何故なら起こった出来事は、殆ど変わらぬ出来事だったからだそうだ。兄が月夜の黒猫団へと入団し、レベルを偽って彼らと歩み、アラームトラップを踏んだ所まで、私が経験した出来事は殆ど同じに進んだ。
でも、明らかに違っている点が存在した。
「けど、サチは生きている……あの状況を兄一人でどうにか出来たとは思えない……従兄が、何かしたんでしょ?」
「……あぁ」
そう、違ったのは、私と違い、従兄は黒猫団に入らずに兄の事を見守っていた。色々な要因あってその場に駆けつける事が出来たために、サチだけでも生かすことできた。
私は救えず、従兄は救えた。独りの少女の命にとって、いっそ残酷な程にはっきりとした境界線の違いを示していた。
そう、私と違って、従兄はサチを救えた。サチに明日の希望を守ることができた。
どうしてなんだろう……やっぱり私が何もわかっていなかったからなのかな?従兄がいれば、サチやみんなを救えたのかな?
…………。
「だっ、たら……!」
言ってはいけない。こんなこと言っても無意味なことくらいわかっている。わかっているのにも関わらず、湧いた感情を止まることなく発してしまった。
「どうして、私達の世界のサチは救われなかったの……!?」
「……ッ」
世界自体違うのに、どうしようもない八つ当たりをぶつけてしまった。
私は従兄の胸倉を掴みながら止まることのない感情を続けてぶつけてしまった。
「私達の世界には私がいて!でも私のせいでサチは死んで……っ!従兄達の世界のサチは従兄が助けてあげられて、あんな幸せそうに笑っていて……!私には出来なくて従兄には出来た!」
目の前の青年の胸倉を掴んで訴えれば、何かが変わるの?変わりはしない。それは無意味なんだ。どうしようもなく発した言葉は――――無意味なんだ。
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