第十一幕その三
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「水を吸ってしまって」
「ぬいぐるみは中身はスポンジや生地だから」
「重くなって沈んでしまうのだ」
「だから泳げないのね」
「お水の中では底を歩いて進むのである」
泳ぐのではなくです。
「そうしているである」
「そうしているのね」
「何かつぎはぎ娘さんやかかしさんと似ているわね」
ここまで聞いてです、ナターシャは思いました。
「どうも」
「そうね、何か」
「つぎはぎ娘さんもぬいぐるみだし」
「そうしたところはね」
どうしてもとです、ケーキはナターシャに答えました。
「そのことは」
「そうよね」
「身体の仕組みがそうなっているからだね」
モジャボロも言ってきました。
「自然とそうなるんだよ」
「そう、オズの国の人はそれぞれ色々な身体を持っているのだよ」
教授は少し胸を張ってお話しました。
「ならクマセンターの諸君はそうした身体だからそれでいいのだよ」
「それもまたオズの国だから」
それでとです、王女はモジャボロと教授の言葉に頷きました。
「面白いのよね」
「泳ぐのではなく水の底を歩いて進むことも」
それもと言ったのは王女でした。
「やり方の一つね」
「泳ぐだけではないのである」
伍長も胸を張って言います。
「そうした方法があるのならである」
「その方法でよね」
「進むべきである」
「そうよね、さて後は」
「カエルマンさんがおられないですが」
ケーキはここでこの人のことを言いました。
「あの人は」
「ああ、彼は途中迷子がいてね」
モジャボロがケーキに答えます。
「その娘のご両親を探しにね」
「行かれましたか」
「その迷子の子の村は何処かその子に聞いてすぐにわかったから」
「その子を連れてですか」
「村に向かっているからね」
だからだというのです。
「あと少しで来るよ」
「そうでしたか」
「あと少しで彼も来るよ」
教授もそのことはとお話します。
「待っていればいいよ」
「それでは」
ケーキは教授のお話にも頷きました、そうしたお話をしていると実際にでした。
カエルマンが後ろ足でぴょんぴょんと高く跳びながらやってきました、そうしてそのうえで正門のところに来てです。
教授よりもやや気取った感じでシルクハットを取って恭しく挨拶をしてそれから皆にこう言いました。
「遅れて申し訳ない」
「そうした理由なら仕方ないですよ」
ケーキはカエルマンににこりと笑って答えました。
「迷子の子を村に連れて行ったのですね」
「うん、困っている人を助けるのはオズの国の決まりだね」
「だからですね」
「それに困っている人を見捨てることは」
「よくないですね」
「特に子供はね、だからね」
「子供を村に連れて行きましたか」
「そうしてきた
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