幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(下)
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り、瑠衣子は助けて光貞様ぁなどと呟きながらオロオロとしている。普段の気丈と才気を組み合わせて作られたような姿の面影もない。
当然であった。彼は安東家の皇都における特命全権大使にして縦横家安東明貞公の腹心である弟。関洲の駒州と皇都からの干渉を受けた混沌とした重臣界隈のとりまとめに二十余年。更に五将家体制の統治機構構築の最中である皇都の利権抗争に十余年。〈皇国〉五将家体制の調停者として急進改革派官僚にも顔が利く兵部省の古参官僚。
今まで2名の兵部卿と1人の軍監本部総長を見送ってきた男。現在は軍監本部総務部長を務めている。
瑠衣子が行った大改革ですら、執政府の思惑と利用し資金援助を引き出し重臣団を丸め込んだ結果、関洲を放棄させた彼の交渉術の後を引き継いだようなものである。
分権的な安東家が五将家体制の一角を占められたのは立地と知行を持った重臣団の動員能力による戦力もあるがそれ以上に明貞と吉光の能力も大きい。
長男を光貞と名づけたも腹心である弟との良好な仲を強調したためともいわれている。
「はっはっはっ伯爵閣下、ねっねっ年始の挨拶にいっいらっしゃいませなかったことまことに残念で‥‥‥」
「それはなぁ末美殿、私が年始は駒州でにこにこ笑いながら嫌味を言われる役になってたからなんだよ」
「く、くしゅ‥‥‥」
つまりはこういう事である。――安東家のみならず一般的に五将家重臣団とはそれぞれが他将家重臣、分家と交流を持つ外交を担っている。
「安東の若造は何をしているのか!重臣の粛清などを行うのは論外だ!!」
普段は鷹揚を旨とする駒城篤胤は珍しく激怒した。普段は鷹揚を旨としている彼がなぜ怒りを露にしたのかといえば、
分権派であった者たちは元来不破原――即ち駒州の隣人であり、駒州公重臣団との数代前から婚姻関係を持っているものが少なからずいたからだ。
駒州篤胤からすれば寝耳に水であった。なにしろ、瑠衣子のしたことは、安東家と駒城家の横のつながりの大半を破壊したに等しい。
「――貴様らは大殿にも私にも禄に相談をせず光貞の下で無断で家中の者を処断した。
おかげで皇都は酷い騒ぎだ。いいか、そちらの事情は把握しているが中央に悪影響を出せば吹き飛ぶぞ!」
「い、いや違うんです。まさか本当に軽挙妄動をするとは――」
「――やめなさい末美」
あわあわと怯えていた瑠衣子は落ち着きを取り戻し、東洲伯にと視線を交わす。
「伯爵閣下、私の執行に対する影響の認識が薄かったことについて謝罪いたします。ですが――」
続けよ、と吉光は面白そうに促した。
「戸守を主犯とする反乱謀議は大倉山造衆、即ち東洲の旧武装勢力と結んでおりました。
その証拠に戸守家屋敷、および大倉山の集落にて爆発
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