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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
ここからあたしは、始まる
[前書き]

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「出せぇ!!ここから出せぇ!!!」

どこか。
鎖に縛られた、瞳の色以外は葵と瓜二つの女性は身体中に鎖を巻き付けられ、磔にされていた。

「そうやって自分ばっかりいい思いして!!アタシだって!アタシだって”源 葵”だ!!!」

そう、ここは彼女の心の中。
裏の葵は紫式部により封印のまじないをかけられ、こうして深層意識のさらに奥、そこから二度と出てこられぬよう拘束されていたのだった。
以前のように葵が何をしているかは見ることはできない。
だが、感じ取ることはできた。
葵は今、香子とまぐわっていると、

「ううう…!!ぅううううう!!!!!」

うなり、鎖を噛みちぎろうと食らいつくがその程度ではびくともしない。
自慢の馬鹿力も、まじないの効果なのか完全に封じられてしまっている。

「こうやったって…またいつか出てきてやる…!」

真っ暗闇の中、上を見上げる。
僅かな光が差す、遥か上。

「アタシが本物のアタシだ…!欲望のままに生きてるアタシの方が…源 葵なんだ…!!!」

紅い瞳をギラつかせ、いつかその座を奪い取ってやる。
世界が壊れ、神秘が満ちたこの世界。
そうなってくれたおかげで、自分はこうして自我を持つことが出来た。
ならば、外に出たい。
この崩壊した世界にふさわしいのは、紫式部のマスターとしてふさわしいのはあたしではない、
他でもないアタシなのだと。
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