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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
ここからあたしは、始まる
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キャスタークラスなら…なんだっけ?工房?陣地的なやつも必要なんじゃないかな?」

執筆現場、本の保管場所、そして陣地。
その3つを満たせるところが、一つだけ心当たりがある。
とはいっても、そこが壊されていなければの話なんだけどね。

「うん、あれだ。」

例のそれが見えてきた。ラッキーなことにそれは奇跡的に建物としての形を維持している
それは自宅からバスで10分。あたしが小さい頃から利用してきた大きめの建物。
そこにある本は全て読み切ったといっても過言ではない。
そう、

「あれは…。」
「図書館だよ。」

本のための建物。
すなわち図書館だ。

?

やっと見つけた拠点となるもの。
なのだが、やはり現実は厳しい。

「中は…だいぶ荒れていますね…。」

固く閉ざされたドアをこじ開け、久しぶりに図書館を訪れてみれば目の前に広がる光景はかつてのものではなかった。
地震があったのだろうか、本棚は倒れ、そこら中に落ちた書物が散乱している。
幸運と言えば、図書館には金目のものがないと踏んだのだろうか何かが入った形跡はなかったことくらいだ。

「…。」
「…。」
「あの…葵様?」

カバンを明け、頭に三角巾を結んだあたしを見て香子は恐る恐る聞いてくる。

「まさか…。」
「そのまさかだよ。今からここを"全部片付ける"」
「…。」

遠い目をしている。
けどここが拠点になるんだ。頑張って片付けよう!!
と、思った時だ。

「?」

ズシン、ズシンと重量感のある音が響く。
重みのある、一定のリズムを保った音。
間違いない、これは足音だ。
重い何かがこちらに…図書館の中に入り込んできている。

「香子…。」
「侵入者のようです。とはいっても、私達も侵入者なのですが…。」

いや、あたし達が先に入ったからここはあたしのものだ。
だから侵入者じゃない。
やがて足音は大きくなり、その姿が露になる。

「あれは…!?」

体長は2メートルを超えるだろうか。
全身が岩で構成された、人を真似た巨人。

「ごおれむ…でしょうか?」

ゴーレムだ。
ゴーレムが図書館内に入ってきた。

「…。」

ゴーレムは図書館に入るなり、左右を見渡す。
そしてあたし達を視界にとらえると、ジッと見つめてきた。

「葵様…いかがいたしましょう?」
「決まってんじゃん…やられる前にやる!!」

床を蹴り走り出す。
同時に香子は筆を手に取り文字を描く。
書き終えた文字は意識を持ったように動き出すと、それは飛んでいきあたしの足にピタリと張り付いた。

「脚力強化、瞬発力、跳躍力を格段に上げました。今の葵様の脚は…岩程度なら易々と砕けます!」
「ありがと!
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