第四章
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「キチガイって言っても通じるって冷たく言ってな」
「精神病院に送ったのね」
「実の息子にそこまで言われるなんてな」
「ある意味可哀想ね」
「ああ、けれどマロンにしたことをずっと多くの人や生きものにしてきたらしいし」
「ああなってもなのね」
「自業自得だな」
達観、それが目に出ていた。今の父には。
「本当に」
「そうなるのね」
「人間やっぱりいいことをしないとな」
「そうね、そうならない為にもね」
「犯罪は論外にしてもな」
「いいことしていかないとね」
「駄目だな、だからうちはな」
自分達はというのだ。
「マロンを大事にして」
「そしてよね」
「そのうえでな」
さらにというのだ。
「マロンを佐藤さんにな」
「会わせることもなのね」
「していこうな」
「ええ、それじゃあね」
あかりは父の言葉に頷いた、そうしてだった。
マロンを大事に育て一緒にいる様にして雄である彼を佐藤さんと会わせることもした。そしてマロンと一緒にいて。
あかりはある日両親に言った。
「私獣医さん目指すわ」
「マロンと一緒にいてよね」
「ええ、それでね」
こう母に答えた。
「生きもののことを見て考えて」
「それでなのね」
「マロンだけじゃなくて生きものを救えたら」
それが出来ればというのだ。
「いいと思って」
「それでなのね」
「ええ、だからね」
「獣医さん目指すのね」
「それならな」
父も言ってきた。
「お金のことは心配するな」
「あるのね」
「警察官の給料は安くてもな」
このことは冗談で話した。
「ずっと貯金してきたからな」
「だからなのね」
「蓄えもあるしな」
それでというのだ。
「お前を大学に行かせるだけは充分にある」
「お母さんも働いてるしね」
母も言ってきた、母は区役所勤務だ。
「だからね」
「それじゃあ」
「勉強頑張るのよ」
「そうするわね」
「それでね」
そのうえでとだ、母は娘ににこりとして話した。
「獣医さんになって」
「それでよね」
「沢山の生きものを助けてあげるのよ」
「そうするわね」
母だけでなく父にも約束した、そしてだった。
あかりは実際にこの日から高校の勉強に励む様になり大学に進学し獣医になれた。そうして多くの生きものの命を助け家ではいつもマロンと一緒にいた。その日常はとても幸せで楽しいものであった。あの老婆とは違い。
糞婆の末路 完
2020・8・21
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