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或る皇国将校の回想録
幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(中)
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故かわかるか?
重臣団の知行に対する慣習法を尊重しすぎたからだ!!そして重臣団の知行運営は旧態依然としていた!
龍州が天領になった事にも、それによる商人達の台頭にも対応できなかった」
 光貞はこれを震わせたが動揺ではなく怒りによってだ。自身の精神を護る為の単純化である、と自身がどれほど狂おうと客観視できる狂気を持った男であれば自身を冷笑したのかもしれない。だがその異能を持った者はいまだ幼く駒州公の屋敷で暮らしていた。

「わっ私にだってわかっていた!お前達がやっていることは間違っている!
それでも祖父の代から功があるから父上はお前達との均衡を守ろうとし!関州は衰退した!
駒城がなぜ拡張せずに潤っているのかわかるか!
皇龍道の立地に胡坐をかいて!所領持ちが未だに関所を建てているからだ!!
駒州の家臣団はもう関所などとってはいない!!
良馬の産地だから?駒州の立地に恵まれているから?内王道も東沿道も皇龍道ほどに良い立地ではない事くらい貴様らにもわかるだろう!」

 戸守達は光貞の怒りを無感情な眼で眺めている。何に対して怒っているのかを理解できているのか、何を感じているのかもわからない。ただ己たちに救いがない事を知って呆然としているのかもしれなかった。

「わ、我々はそれを改めなければならない。もはや時間はない、東洲に移り、地縁と重臣を切り離した今こそ安東家中の在り方を、あ、改めなければならないのだ!」
 感情を爆発させた後の疲労と羞恥が光貞を襲う。その刹那、瑠衣子がそっと光貞を支えた。
「――ご立派です。若殿様は安東家の若頭領として在り方を示しました。
以上です。申し開きは法務官と治安判事たちに――」

 戸守がその刹那、怒りに燃え瑠衣子に吼える。
「貴様‥‥女狐め!安東を壟断し何をするつもりだ!!」

「いま光貞様がおっしゃった問題を解決する、それだけです」
 瑠衣子は侮蔑を隠さず戸守を嘲笑った。
「壟断?私をそう批判するのであれば貴方達の今までの在り方こそ壟断そのものではないか
関州にいたのであればまだ故もあろう、だが東洲で明貞公からいただいた所領を持つ貴様らが儘に振舞うゆえなど最早ないのだ。
すでの皇主陛下は新たな法を敷き、我々は州法を定めている。貴様らはそれに裁かれるだけだ」

「黙れ女狐!我が家は恐れ多くも五代前の安東公より所領を賜わり、父の代より関州男爵を務めた身だ!すなわち安東公が家中の臣であって海良の家来なぞではない!
我が屋敷内で貴様らの走狗が狼藉を働くとは言語道断!この無礼は――無法は――!」
 
 瑠衣子はここまで莫迦だとは思わなかったわ、とだけ呟くと言葉に詰まった初老の男達になんら関心を示さず、夫へ労わるように声をかけた。
「――若殿様。軍人としての御勤めがあると存じます、お
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