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或る皇国将校の回想録
幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(中)
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いやぁ怖い怖い。海良殿も将家の御方。なにとぞ軍務の上で危険物の扱いにはお気を付けを‥‥」
 腰を抜かした末美に向けて宮浜は微笑を浮かべたまま手を差し伸べた。

 立ち上がっても呆然としてる新品少尉を見て光貞は何はともあれ仕事を与えるべきか、と苦笑した。
 光貞は東洲で戦争の現実をみており、さして度胸のない貴族将校に同情的であった。
「末美君、保安隊の仕事ぶりを見てきてくれないか」

「義兄上‥‥ありがとうございます!命の借りはいずれ!」

「い、いの‥‥うん、まぁ気をつけて」
  さてそれでは私も、と宮浜はニコニコと笑ったまま末美の後を追う。
 馬車の方が騒がしくなったのに気付いた光貞は苦笑する。
「‥‥‥彼女の様子を見ておくか、うん」
  




 半刻もせずに東洲鎮台兵の出番もなく捕り物は終わった。武門の名門は軍ではなく治安機構により捕らえられたのだ。

「若殿!貴方は――何を!」
 安東家武門の名門、五将家たるに相応しい武威を数代に渡って見せてきた一族の初老の男は――縄をかけられ若頭領の前に引き出されていた。
 神沢率いる精鋭騎兵と保安隊の屈強な者達が油断なく取り囲んでいる。
 いつの間にやら工部省から来た男は姿を消しているが気づいているのは末美だけだ。
「残念だ、残念だよ、戸守。必要なことだと言ったはずだが――家臣複数の連名による決起状、若殿を押し込めて海良家の追放、か」
 ふと父はこれを分かっていたのかもしれない、と考える。光貞を押し込めるという事は逆に言えば皇都の安東家当主である明貞の承認を得られる前提だ。
 
「若殿は誑かされておられる!どうかお目をお覚ましになってくだされ!!
貴方に乗馬をご指南させていただいたのはこの私ですぞ!!」
 ――この計画を成功させられるほど東洲地方勢力を掌握できているのであれば海良を切っても問題ないという事か――いや考えすぎか。
 どうであれこの男達は失敗し、私を賭けた海良が勝った。もう戻れない!!それが真実だ。
 光貞はこみあげてくる何かを飲み下した。悲しみか、過去への郷愁か、それとも怒りなのか、本人にも分からない何かであった
「た、誑かす、か。最初に誑かされたのは我々で、誑かしたのは君達だよ」

「誰もが手を伸ばさなかった東洲に手を伸ばしたのは何故だ。
君達は拡張を求めていた、我々は家中の均衡と他の五将家に対抗する為にそうせねばならなかった。
この判断は父の、明貞公の責において下された決定だ。貴様らとの協議を経て、な」

「‥‥‥」

「戸守、なぜ東洲に貴様らが行こうとしたのか分かっているか?
龍州の平定後、駒州は良馬の販売だけでなく街道の整備に投資をして大いに経済を発展させた。
それを我々は出来なかったからだ。何
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