幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(中)
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皇紀五百四十六年 五月某日午後第八刻 東洲公安東家屋敷
”東洲公爵”安東家公子夫人 安東瑠衣子
海良瑠衣子の輿入れから一年半が経ち東洲の経済は都市部を中心に徐々に再建の目途が立ちつつあった。
特志保安結成かは、結成当初の名目で会った匪賊退治を早々に東洲鎮台に移管し、治安維持機関へと徐々に色を変えつつあった。
瑠衣子の政策を支持した者達は忙しく動き回っているがその成果が支配者の収益として出るにはもう数年かかるだろが、少なくとも飢える心配のない多忙な日常がきょうきゅうされたことで、領民の民心は徐々に安定しつつある。
一方で上層部の混乱は続いていた。戸守を中心とした反集権派閥は多忙、旧領への火急の用事等、理由をつけて若頭領とその妻が実質切り盛りしている州政庁にも東洲鎮台にも寄り付かなくなっており、領民たちは農地の再建に従事させられているが数年後、どのような状態になるのかはいまだ怪しいところである。
「瑠衣子」「はい」
瑠衣子はそれを気にする風もなく夫となった光貞と独特の仲睦まじくやっていた。
光貞と瑠衣子は一般的な将家の妻とは異なった関係を築いている。
将家としては異例ともいえる女性の強さ――龍塞周辺に現在も残っている”里刀自”は時に虎州北部の小将家――その中でも今では安東家重臣と認められる程の家にも根付いている風習がそれを受け入れる土壌を作っていた。
そして光貞個人の柔軟な思考とよく言えば穏やかな気性、悪く言えば気の弱さは、将家の長としてはけして褒められた気質ではないが、瑠衣子の才気走り周囲の人間を轢き回す性質と上手く噛み合っていた。
「叔父上から伝達があった。加賀美屋が皇都で妙な動きをしている。
――戸守たちに一枚かんでいるそうだな。東洲乱で火傷した癖によくやる。
海良家は連中と伝手はないか?」
加賀美屋は東洲最大の資源の一つ鏡鉄鉱の加工とその卸問屋を行っている東洲商人――というより山師集団である――山師と言っても詐欺師ではない、鉱山の運営や植林などに携わる。
加賀美屋の主は大倉山造衆と呼ばれる集団の実力者であり、東州乱では私兵を率いて裏で動いていたような連中だ。
大倉山に広く散らばっている複数の惣の連合体による勢力である。元々は農業の片手間に狩猟、林業、河川水運を営んでいたが夷野に面した鏡鉄鉱の鉱山が発見されたことで諸将時代においてその重要性が更に増す事となった。その経済力で東洲有数軍閥に成長すると東洲の覇権争いに首を突っ込み目加田家にも深く入り込んでいた。そうした類の連中である以上、当然のように東洲叛乱にも参加した。
だが新宮の戦いで背州軍の陽動と護州公次男が率いる護州騎兵旅団の突撃により重砲を喪失した事で大勢は決したと判断した、山造衆を構成する一部の惣が宮野木和磨率いる背州軍
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