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さすがお兄様な個性を持っていたけどキモい仮面のチートボスにやられた話
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前の部屋を借りたい。いいか?」
「構いません」
エンデヴァーが俺に用があるなんて珍しい。公安委員会本部で時々会うが、あまり話さない。
「冬美、車を呼んだ。深雪と先に帰ってくれ」
「いいけど、お父さんは?」
「後で行く」
そう言い残して、俺たちは俺の部屋に向かった。
「ずいぶんと殺風景だな。昔とは違うな」
ミニテーブルの前に座ったエンデヴァーがそう言った。オールマイトファンだった俺の部屋は、オールマイト尽くめだった。兄さんが限定グッズを買ってくれたおかげでもあった。一度俺の部屋に来たことがあるエンデヴァーは初めて俺の部屋に入った時、あまりのショックと息子がオールマイトの話で盛り上がっていることに倒れこんだ。
でも、今の俺の部屋は普通になった。勉強机にベッド。ミニテーブルと本棚くらいしかない。
昔集めたフィギュアもポスターもシールも、何もかも片づけた。嫌いになったわけじゃない。むしろ、あの人のすごさが任務を通して身に染みた。だから、俺みたいな復讐者がファンなんてあの人への冒涜だ。尊敬しているからこそ、ファンを辞めた。
「それで話とは?あなたほどの方が俺に用なんて、何があったのですか?」
「次の任務の件だ」
ああ、そういうことか。
天下の雄英が襲撃されるなんて信じられないだろう。まして、自分の母校で息子が入学する予定だ。親として心配しているのか?
「平時は普通科の生徒としています。指令か緊急時には動きます」
「ヒーローは目指さないのか?」
その言葉に、何も言えなくなった。
「俺には、君がヒーローになるというあいつの夢を叶える義務があると思っている」
「義務、ですか?」
「残された者として、いなくなった者の夢を叶える。それは義務だと思っている。俺にとっても君にとってもだ。もし、兄のことを想うなら普通科ではなくここに行くべきだ」
そう言ってテーブルの上に出したのは雄英のパンフレット。それもヒーロー科。かつて自分が憧れた夢の舞台だ。
「俺は、君が公安委員会の諜報員になることが反対だった。だが、君が決めたのなら否定しない。それも、君次第だ」
そう言って立ち上がり、エンデヴァーは、轟 炎司さんは部屋を出た。
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