第百六十七話 近江に入りその十三
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「手に入れていくべきです」
「あの国の広さを考えるとな」
「はい、ただ信濃を手に入れますと」
「大きいな」
「そこから越後にも上野にも行くことが出来ます」
北陸及び関東にというのだ。
「広いだけに」
「そうだな、だからだな」
「美濃を手中に収めましたし」
「信濃に腰を据えてかかるか」
「そしてそれからです」
「甲斐だな」
「そうしていきましょう」
まずはというのだ。
「そうしましょう、信濃の多くの勢力をです」
それぞれの地域に割拠している彼等をというのだ。とかく信濃は広く今はそのことが念頭にあるのだ。
「全て手中に収めましょう」
「それに専念するな」
「是非共、そして手中に収めれば」
謙二はそこからのことも話した。
「何かと政もです」
「していくか」
「梨を植えて林檎もです」
「植えてな」
「観光もです」
「温泉を浸かってな」
「栄えさせましょう」
そうした産業をというのだ。
「道を整え」
「道じゃのう」
当季は道と聞いて言ってきた。
「まっことな」
「信濃は山国だからな」
「尚更ぜよ」
当季は英雄にもまさにという顔で話した。
「道が大事ぜよ」
「信濃の中だけでなくな」
「東海、美濃やら三河やら遠江への道もぜよ」
「整えていかねばならない」
「そうぜよ」
「あの国は多くの国との行き交いが出来る、ならな」
「道も整えるぜよ」
「そこも考えていくか、あの国も手に入れ」
そうしてというのだ。
「東海と甲信を手に入れてだ」
「北陸もじゃな」
「手に入れるとな」
つまり今考えている戦が一段落つけばというのだ、英雄は今は戦に専念し政はそれからだと考えているのだ。
「それからだ」
「政じゃな」
「その順番でいく、ではな」
「まずは戦もっと言えば話ぜよ」
「それで信濃の国人達も降していく」
「それならのう」
こう言ってだった。
当季も英雄の言葉をよしとした、そうして戦をさらに進めていくのだった。
第百六十七話 完
2020・6・23
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