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水の国の王は転生者
第六十四話 大森林の精霊
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 大森林内部で獣や亜人と戦う原住民と接触したヌーベルトリステインは、原住民と同盟を結び、五大湖周辺を支配する精霊との戦争に突入した。

 司令部に指定されたフォート・ノワールには、ヌーベルトリステインのほぼ全軍の一万人の民兵が集結し、新トリスタニアから運ばれる物資を貯蔵していた。

 総司令官はマクシミリアンの抜擢でウルグ将軍に決まり、マクシミリアンは軍隊では手に負えない敵が現れた場合に備え、フォート・ノワールに待機することになった。

 シュヴルーズ遭難から二週間の間、シュヴルーズら地質調査隊は悪霊の滝で過ごし、今日フォート・ノワールに護送されて帰って来た。

「ミス・シュヴルーズ、無事で何よりです」

「王太子殿下直々のお出迎え、大変恐縮に思います」

 マクシミリアンの出迎えに、シュヴルーズは頭を深く下げて礼を言った。

「地質調査隊隊員の皆もご苦労様、食堂に料理を用意してある。旅の疲れを癒して欲しい」

『王太子殿下のお心遣いに感謝いたします!』

「長い話はこれ位にして解散しよう」

『御意!』

 解散を命ずると調査隊の隊員達は一斉に食堂へ雪崩れ込んだ。

「……あれ? 義姉上が居ない」

 マクシミリアンは、地質調査隊の中にエレオノールの姿が無い事に気が付き、湯を借りようと厨房へ向かうシュヴルーズに声を掛けた。

「失礼、ミス・シュヴルーズ。ミス・ヴァリエールの姿が見えないのですが」

「ミス・ヴァリエールなら、あちらに……」

 シュヴルーズが手を向けた先に、エレオノールが何やら上の空で佇んでいた。

「……ああ見つけた。ありがとう、ミス・シュヴルーズ。呼び止めて悪かった」

「はい、失礼します」

 シュヴルーズは去り、マクシミリアンはエレオノールの所へ駆け寄った。

「お疲れ様です、義姉上」

「殿下、この度は心配をお掛けさせ、申し訳ございませんでした」

 上の空だったエレオノールは、マクシミリアンへ向き直し深々と頭を下げた。

「いえ、不運だったんです。そう畏まらないで下さい」

「……はい」

「ティファニアも心配していましたよ」

「あの子が……」

「帰ったら無事を知らせてやってください。とにかく無事でよかった」

 マクシミリアンは、エレオノールに纏わり付いていた『棘』の様なものが消え去っていた事に気が付いた。新世界への旅は、エレオノールを人間的に成長させるには、十分な経験を積む事が出来た。






                      ☆        ☆        ☆






 悪霊の滝では、分散していた他の捜索隊が合流し、補給物資を持った増援部隊とも合流した事で、捜
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