第六十四話 大森林の精霊
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『群れが動いた』の報を受け取ったマクシミリアンは、ヌーベルトリステイン全土に警報を発し、ウルグ将軍に迎撃を命じた。
「必ずや殿下のご期待に添います」
「始祖ブリミルの加護が在らん事を」
「ははっ」
ウルグに指揮されたヌーベルトリステイン軍約一万とトリステイン本国から送られてきた新兵器たちは、フォート・ノワールを出立した。
フォート・ノワールに残ったマクシミリアンは、ウォーター・ビットから送られてくる情報を見ているしかなかった。
別室では参謀達が情報の整理を行い、適切な補給計画を実行していた。正直な所、ウルグには参謀を一緒にフォート・ノワールに残って作戦の立案をして貰いたかったが、他に司令官の適任者が居なかった為、ウルグを司令官にするしかなかった。
だが、マクシミリアンのウォーター・ビットで、ウルグと参謀達との意思の疎通が出来るのは幸いだった。
「セバスチュアン、ワインを」
「ウィ、殿下」
マクシミリアンはワインを頼むと、数秒と掛からずに、赤いタルブワインが満たされたワイングラスが現れた。
「ありがとう、下がっていいよ」
「ウィ、失礼いたします」
個室の窓を開けると、新世界の風がマクシミリアンの髪を靡いた。
地上の遥か先には、ウルグに指揮されたヌーベルトリステイン軍が、列を成して大森林へと入っていく光景が見えた。
「勢いで決めてしまったが、建国して一年もしない内に戦争か……はあ、予算足りるかな?」
ため息をついて、ワイングラスを呷った。
(とにかく早期決着だな。一会戦で勝負を決めないと)
飲み干したワイングラスをテーブルに置くと、山積みになった資料に目を通した。
(資料では、敵の規模は数万、もしかしたら十万を超えるかもしれない)
対するヌーベルトリステイン軍は一万で非戦闘員を入れても二万を上回る程度だ。
勝利の策はウルグらと共に用意したが、何が起こるか分からないのが戦争だ。
「みんな頼んだぞ」
独り言を呟くと、上空を三隻の74門戦列艦が通過した。
ル・モンテ号、モンマロー号、ラ・フランドール号の三隻の二層戦列艦は、ヌーベルトリステインの保有する数少ない空軍戦力だ。
元々は旧式だった為、蒸気機関を搭載される事も無く売却処分される予定だったが、エドゥアール王の計らいで、新たに建国されたヌーベルトリステインの空軍に編入された。
海上でも運用できる様に最低限の改造しか施されていないが、最新の鋳鉄製の前装砲が全砲に配備され、最新の榴弾を使用しての地上攻撃での活躍が期待された。
……
出発から一週間後、ウルグらヌーベルトリステイン軍は、潜入したジャックや武偵隊から送られてくる情
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