第六十四話 大森林の精霊
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、他に弾は無いんですか?」
「弾薬も『場違いな工芸品』で発掘品扱いですから、本国の技術では、まだ再現できないそうです。残念ですが次の補給は未定です」
「そう……使いどころを考えないとな。ありがとう、補給のメドが付いたら教えて」
そう言ってアニエスは、G3と弾薬を持ってテントから出た。
「あれ?」
テントを出たアニエスは、武偵隊のキャンプ全体が慌しい事に気づいた。
「あ、ヒューゴさん、何かあったんですか?」
「アニエスか! ついさっき、ジャックさんから緊急連絡が届いたんだよ。『群れが動いた』ってさ!!」
「ええっ!?」
「そういう訳だから、デヴィット隊長の所へ急げ!」
「りょ、了解!」
アニエスはG3と弾薬を抱えたまま、デヴィットのテントに走った。
☆ ☆ ☆
時間は少し遡る。
敵地への単独潜入という特別任務を受けたコマンド隊のジャックは、道中で殺したバイソンの皮を剥ぐと、全身に動物達の糞を塗り、剥いだ皮を被って凶暴な獣が跋扈する土地へと潜入した。
昼夜、中腰の状態で移動するジャック。途中、同じバイソンの群れと出くわしたが、仲間を勘違いして擦り寄ってきてジャックを辟易させた。
(どうも、知能は高くないらしい)
バイソンの群れは、大森林の奥へ奥へと移動し、ジャックも幸いとばかりに、群れに紛れて大森林の奥へと潜入する事に成功した。
大森林の奥へと進むにつれ、バイソンの他にも巨大な角を持つヘラジカなど多くの獣、亜人が集まってきて、その光景は何かの巡礼の様だった。
道中、正体がばれない様に獣の群れに紛れながら、野草や雨や川の水で飢えを凌いだ。
そして一週間後、日の光も届かない、方位も分からない、それほど鬱蒼とした森を進み続け、ジャックが潜む獣の群れは、巨大な湖の畔にたどり着いた。
目の前に広がる巨大な湖の中央には、一本の巨大な大樹が天高く聳え立っていた。
湖を囲むように獣や亜人達が集結していて、巨大な大樹に向かって深々と頭を垂れていた。それも数百や数千といった規模ではない。軽く数万は下らない数の獣達が大樹の周りに集まっていた。
『オオオオ……』
何処からとも無く声が聞こえた。
ジャックは、声のした大樹の方を見ると、樹の幹がゾロゾロと蠢き、二つの目と一つの持つ人面樹に変貌した。大樹の精霊『エント』だ。
よく見ると、エントの枝の一本一本に、蔦で雁字搦めにされた人間のミイラがぶら下がっていた。
しかも、そのミイラは辛うじて生きていて、蔦から体液吸い取っているようだった。
生きたま
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