暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第89話『優菜の想い』
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のだ。


「それにしても、何で助かったんだろうな?」

「っ…!」


そんな大地の質問が聞こえて、晴登の肩がビクッと跳ねる。その疑問はもっともだ。だが、魔術を使ったなどと言えるはずもない。


「き、木がクッションになったのかな〜?」

「それよく聞くけど、ホントにありえるんだな」


晴登の苦し紛れの答えに、大地はふむふむと頷く。もしかして納得したのか? こんな適当な理由で。でも好都合だから、そういうことにしておこう。


「それでは、三浦君と戸部さんは医務室へ向かって下さい」

「「わかりました」」


話の辻褄を合わせるため、晴登たち2人は実際に医務室に行くことにする。捻挫はしていないが、着地の衝撃で擦りむいた所はあるから、それで誤魔化せるだろう。ひとまずこの問題は解決だ。

──だが晴登はこの時、もう一つの問題を完全に失念していたのだった。







医務室で軽く手当をした晴登と優菜は、旅館のロビーにいる大地たちの元へと戻ってきた。そろそろ夕食の時間ということで、昨日と同じ調理場へと一緒に向かうために待っていて貰ったのだ。ついでに言うと、スタンプラリーの顛末も聞きたかったりする。
山を登りながら、晴登は大地の話を聞いていた。


「優勝は頂上で会ったあのチームだ。スタンプを76個集めたらしい」

「頂上の3個のスタンプが無くても優勝したんだ…」

「そうそう。で、逆に俺たちは失格。まぁこれはしょうがないけどな」


申し訳ない気持ちはあるが、緊急事態だったから致し方なし。もしあの事故がなければ優勝を狙えたかもしれないが、過ぎたことを考えても後の祭りだ。


「でもって優勝賞品なんだが、これが何とも言えないやつでな・・・」

「な、何だ…?」


大地が苦笑いしながらもったいぶるので、晴登はドキドキしながら催促する。すると大地は徐に口を開いた。


「『今日の花火を特等席で見られる券』だと」

「それは確かに…微妙だな」


大地の言う通り、これは人を選ぶ賞品だ。花火を好きな人とかなら嬉しいだろうけど、あの男子たちが喜ぶかと言われると微妙なところである。
すると大地は何かを思いついたように、ポンと手を叩いて言った。


「そうだ、"花火の噂"とか信じてるやつにはオススメかもな。ムード的な」

「あ、なるほど・・・って、あぁ!」

「うおっ!? どうした晴登、いきなり頭抱えて!?」


ここに来て、ようやく重大なことを思い出した。皆と再会した喜びで完全に忘れてしまっていたのだ。花火というイベントがあることも、結月と約束を交わしていたことも。どうしよう、まだ告白するかどうかも決めてないのに。散々色んな人
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ