第四部
Bブロック 2
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ろへ飛んで着地。
「多聞天」
春斗が刀の柄を顔の側に置く。
切っ先は向子に向いた。
「神速斬光・二ノ段」
彼の体に力が漲る。
「魅那風流・刺突貫仏」
先に出した飛車斬りが多撃必殺の乱舞技なら、こちらは急所狙いの一撃必殺。
春斗が踏み込み疾風のような早駆け。
明らかに速くなった。
どうやら神速斬光には底が有ったらしい。
狙い澄ました刺突が向子の喉を穿つべく、矢のように放たれる。
(無駄だけどね)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
向子の喉仏に刀の先端が容赦の欠片も無く猛然と食い込むも、伝わってくる感触と共に硬質な音が鳴り響いて刃の前進が阻まれた。
「言ったはずだよ。私と江神くんはステータスが違い過ぎるって。生身の肉体なら兎も角として、きっちりと【魔晄】を使って防壁を張り、身体強化をしたら、その攻撃が通るわけないじゃないか。威力こそ有るけど物理的に出すオーソドックスな刺突と何ら変わらないんだし」
向子は春斗の繰り出した必殺になり得る一撃に対し、奇を衒うこと無く、王道で正統派とも言える、『明確な実力差』によって真っ向から受け止め凌いで見せた。
闘技者としての格付けは済んだと言って良いが、それはあくまで基本性能という面であり、魔術師としての勝負は終わっていない。
「まったく……。ここまで差が有るとなれば、逆に開き直りもし易いと言うものだな。ここで全てを出し尽くすことになるかもしれん」
春斗は目の前に立つ高い壁に対して試行錯誤しながら楽しそうに笑っていた。
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