外伝〜智謀の天使〜
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〜リィン少将の私室〜
「――――失礼します。」
「貴方は一体……」
「兄様。」
リィンが部屋に入ると既に目を覚ましてベッドから起き上がっているルシエルとルシエルのベッドの傍に置いてある椅子に座っているエリゼがリィンに視線を向けた。
「お初にお目にかかります、”能天使”ルシエル殿。自分はメンフィル帝国軍より遊撃隊”灰獅子隊軍団長”を任されているリィン・シュバルツァー少将と申します。」
「”シュバルツァー”……?もしかして貴女と先程出ていった貴女の妹は彼の縁者なのですか?」
自分達に近づいた後会釈をして自己紹介をしたリィンの名乗りを聞いてリィンの名前が気になったルシエルはエリゼに訊ねた。
「はい、私とエリスは兄様とは”義理の兄妹”、そして”婚約者”の関係でもあります。」
「…………とりあえず、彼は貴女達にとっての縁者である事に間違いはない事は理解しました。既に貴方達がわたくしの名を知っているようですから、わたくしの自己紹介は省かせて頂きます。――――――異世界に放り出された見ず知らずのわたくしをここに運び込み、治療して頂いた事には心から感謝致しますわ。」
エリゼの説明を聞いて冷や汗をかいて表情を引き攣らせたルシエルはすぐに気を取り直してリィンに感謝の言葉を述べた。
「いえ……自分達は当然の事をしたまでです。エリゼ、ルシエル殿にはどこまで話したんだ?」
「ルシエルさんが今いるこの世界はディル=リフィーナでなくゼムリア大陸である事、そしてルシエルさんがディル=リフィーナからゼムリア大陸に転位した原因は並行世界の”零の至宝”である事とその”零の至宝”の事についての説明をし終えたところです。」
「そうか…………という事は俺達”メンフィル帝国”の事はまだ何も教えていないのか……」
エリゼの話を聞いたリィンは天使であるルシエルが”天使であるルシエルにとっては魔族”である”闇夜の眷属”の国であるメンフィル帝国の事を知った反応を予想して複雑そうな表情を浮かべた。
「その様子ですと貴方達の国と思われるその”メンフィル帝国”とやらはわたくしが知る事で貴方達にとって都合が悪いようですね。でしたら無理に説明をしなくても構いませんわ。」
二人の会話を見守っていたルシエルは二人に対して気遣いの言葉をかけた。
「いえ、別にそういう訳じゃないのですが………なんて説明すればいいのかな……?」
「回りくどい事は言わず、ハッキリ”メンフィルは魔族の国”といえばいいだけじゃないか。」
リィンがルシエルに対する解答に困った表情を浮かべているとレジーニアがリィンの身体から出てきてリィンに意見した。
「ちょっ、レジーニア!?」
「え………貴女は………――
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