第四部
Bブロック
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……!? あの距離とタイミングで迎撃が間に合うのか……!? 流石は島崎向子。ならばこれならどうだ?)
彼は腰を落とす。
そして柄尻を自身の腹に当てた。
【増長天】と呼ばれる構え。
春斗の威圧感が増す。
「魅那風流・飛車斬り」
武台の床を砕くほどの蹴足で彼我の間合いを詰めると外から眺める観客の目には無数の銀光が見て取れた。
向子の前で閃くそれは照り返す黒刀。
ひたすら続く斬撃。
それ等は全て弾かれ、逸らされ、躱され、春斗の前に立つ女に傷一つ付けられない。
(解っていた。この人が強いことは。だがこれほどか。俺が異能も超能力も行使していないとは言え、こうも簡単にあしらわれるとは……)
遠い。
向子との距離が。
かけ離れている。
互いの実力と技量が。
今の春斗は
『鉄拳の女帝』
『純粋なる強さの象徴』
とまで言われた今は亡き、『愚者のマリア』こと《白鳥マリア》と戦っても勝利を見いだせる域にまで至った闘技者。
(一度戦って秒殺された相手ゆえに彼女の強さを知っている。昨年あの者が敗死するまでは世界四強の上から二番手だった。そのマリアと比べても会長は異端に過ぎる……!)
春斗は後ろへ跳びながら首筋に打ち込むも、向子はヒョイと立てた短鞭で軽々と受け止めた。
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