死神ヨミちゃん
9話 何か入りにくいなー
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
掛た走者にセカンドゴロの間に二塁へ進まれ、いきなりピンチを招いた。
クリーンナップを迎えた守谷欅台に対し、新越谷の内野はファースト寄りにシフトを変えた。これはも、守谷欅台の3番4番はライト方向への強い打球が多いという芳乃の事前情報故だ。外野も僅かにバックする。
しかし、相手の3番打者が弾き返した強烈な打球は詠深の左横を抜け、飛び付いた稜のグラブの先を通過してセンターへ転がった。サードコーチャーは右腕をぐるぐる回す。
1点返されたと思ったが、センターを守る正美は前へと猛チャージをかけていた。
ーーさせるかーっ!!
守っていた位置より遥かに前でボールをグラブに収めた正美は素早くボールを握り替え、ホームへと送球する。肩は並み程度の正美でも、猛チャージしたした勢いを乗せて投げれば、矢の様なバックホームが可能。ボールは風を切り、ワンバウンドして珠姫のミットに吸い込まれた。
珠姫も流れるような動作でランナーをタッチする。タイミングはギリギリ。審判の判定は??????。
「アウトッ」
正美は一瞬だけ小さくガッツポーズをとると、元の位置へ戻っていった。
4番打者の打球はセカンドベース付近を守っていた稜の正面に転がり、3アウトとなる。
新越谷ナインがベンチへ引き上げると、詠深が正美に抱き付いた。
「ありがと〜正美ちゃん!」
「ヨミちゃんもナイピー」
正美の差し出したグラブに詠深もグラブを合わせるのだった。
それからは相手投手も完全に立ち直り、2回以降は0点に抑えられている。
詠深もコントロールが冴え、ゴロを量産し、ピンチを作っても最小失点で抑えていた。6回2失点でこのままいけば初勝利である。
ちなみに、正美は5回の守備から怜と交代し、ベンチへ下がっていた。
最終回の攻撃。珠姫は打席に向かう時、何やら気合いの入った表情をしていた。淡々と追い込まれてB1ーS2となり四球目。相手投手の決め球、シンカーを真っ芯で捉える。打球は右中間フェンスに直撃し、二塁打となった。
「当然。県代表の正捕手だった人だよ?」
「へー。どうりで頭一つ抜けて上手い訳だ」
正美は珠姫が全国出場経験のあることに少し驚くが、それよりもどこか納得した様子を見せる。
「そうなんだよ〜。タマちゃんは当時から守備が上手でね」
芳乃は珠姫の事を語りだす。それはまるで自分の伝説を話
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ