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レーヴァティン
第百六十七話 近江に入りその五

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「そうなるからな」
「だからですね」
「号する」
「それもしていきますか」
「今後は」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「降る者達をだ」
「さらに増やす」
「そうしますか」
「今後は」
「それもいいだろう」
 まさにというのだ。
「二十万という話だが」
「実際でもですね」
「我々はですね」
「より多い」
「三十万、四十万ともですね」
「喧伝してですね」
「そうだ、実際の数はどうでもいい」
 この際はというのだ。
「そして俺達がそうした数を動かせるか」
「三十万や四十万の数も」
「そのことも構わないですね」
「この際は」
「実際がどうかとかいうことは」
「四十万もの兵は幕府も動かせない」
 近畿に四国、山陽と山陰、九州に琉球まで完全に掌握し伊勢に志摩そして越前まで手に入れていてもというのだ。
「人を兵に出来るが」
「民を兵にしなくてはならない」
「そこまではされないですね」
「戦に出るのはあくまで武士のみ」
「そうしていますね」
「そうだ、戦の場に出すのは戦う者だけでだ」
 それでというのだ。
「民はな」
「それぞれの仕事をしてもらいますね」
「引き続き」
「そうしていきますね」
「だから動かす兵の数はな」
 武士のそれはというと。
「二十万だ」
「それだけですね」
「そこまでですね」
「それでいいですね」
「我々としては」
「これでいい、だから二十万はな」
 これだけの数はというのだ。
「動かせる限度と言っていい」
「現実として」
「左様ですね」
「ですがそのことは置いておいて」
「そうしてですね」
「そしてだ」
 まさにというのだ。
「喧伝していくのだ」
「幕府の軍勢は二十万以上だと」
「三十万とも四十万ともですね」
「その大軍が東海と甲信に来ている」
「その様にですね」
「言ってだ」
 そしてというのだ。
「それぞれの地の国人達を惑わせるのだ」
「四十万もの大軍となると」
「二十万の倍ともなりますと」
「二十万ですら相手にならないというのに」
「それで倍ともなると」
「どうしても勝てない、そう思わせてだ」
 東海そして甲信の国人達にというのだ。
「降らせるのだ」
「ことの真偽はいい」
「このことはですね」
「どうでもいい」
「そうなのですね」
「俺は否定しないが肯定もしない」
 どちらも行なうことはないというのだ。
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