陰影ミステリアス
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ミッドチルダ北部、旧アレクトロ社研究施設
本棟、エレベーターライン。
カチ、カチ、カチ……。
はしごと靴の接触音のみが響く暗い空間で、ケイオスは自分に続いて降りてくるセインとディエチに尋ねる。
「ん、さっき言いそびれていたんだが……」
「ふぅ……どうしたのさ? ずいぶん降りたし、気晴らしにおしゃべりしたいなら、あたし達も喜んで付き合うよ?」
「別に気晴らしって訳ではないが、あんた達と行動するようになってからずっと思ってたことがある」
気付かない内に何か気に障ることでもしたのだろうか、と少し緊張が走るディエチ達に向かい、ケイオスは一拍置いて、
「あんた達……臭い」
残酷な一言を告げた。
「え゛……!?」
「あ゛……!!」
室内に入ってから、なんとな〜く二人から漂っていた“異臭”……。その正体について、上で待っているアインスとマリエルは察しながらも同性故の気遣いで黙っていたソレを、ケイオスは何の躊躇もなく言い放った。セインもディエチも今の一言を聞いて反射的に自らの身体のニオイを嗅ぎ……二年間ガチガチのパワードスーツを着ていた事で凝縮し、くさやに匹敵するレベルとなった強烈な体臭でむせた。
「げほっごほっ!? クッサ!? うわっ酸っぱクサァッ!? ちょ、ウソだろこれ、今のあたしってこんな臭いの!?」
「うぁああ……! やだ、私……臭いよぉ……すっごく酸っぱ臭いよぉ……!」
「寒冷地だからハエや羽虫にたかられていないが、そこそこ暖かい所にいけば一瞬でまとわりつかれるな、それだと」
「いやいやいやいやいや、これダメなやつだって。いくら無頓着だったとしても、一人の女として許せないレベルだって、このニオイは……うぇ〜」
「しくしくしく……! おふろはいりたい……!」
「支部に戻ったら大浴場なりシャワーなり好きなだけ使えばいい。一般開放されてないが、あんた達なら許可も下りるだろう。今すぐ入りたいなら、一旦戻ってこの施設のバスルームを使うか? 水道が使えるかは試してみないとわからないが」
「すっごく惹かれる提案だよ……自分の惨状を知ってしまったから、正直言って任務放り出して一目散に体を洗いたい。でも、やめとく。この施設、整備されてないから赤水出そうだもん」
「え? 電力来てるってことは、最近まで整備してたんじゃないの? ほら、エレベーターのワイヤーだってたまには見ておかないと、ある日突然ブチっと千切れたり―――」
「セ、セイン。そういうこと言ったら……」
おずおずとディエチが注意した直後、ガコンッ、と何らかの重量物が外れたような嫌な音が頭上から聞こえ、ナンバーズ二人の顔から血の気が一気に引いた。恐る恐る上を向いた彼女達は、重力の力を存分にもらって火花を
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