第8章:拓かれる可能性
第257話「戦いを前に」
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いくら不利ではないとはいえ、その差は大きい。
「っ………」
すずかが息を呑む。アリサが冷や汗を流す。
アリシアも、フェイトも、はやても、その“差”を理解して奥歯を噛み締める。
「……それでも、勝つよ」
だが、なのはは、なのはだけは違った。
戦力差が大きいのは分かっている。苦戦どころか勝てるか怪しいのも分かる。
……ただ、それでも“勝つ”と、既に決意を固めていた。
「そうでなければ、戦いにはならないから」
「その通り」
感心してか、望んだとおりの答えだったからか、椿は手を叩く。
直後、椿から神力がにじみ出るように放出される。
「最早、単純な力による勝敗はあり得ず。この先は全て我ら汝らの意志により決する。心せよ人の子よ。敗北を悟らぬ限り、真の敗北はあり得ない」
それは、椿としてよりも、神としての言葉だ。
今更神一人の力に圧倒されて言葉を失う程、なのは達は弱いままではない。
それでも、椿が“神として自分達を激励した”という事実に息を呑んだ。
「……まぁ、私も神として信じてるわ。いつだって、人は限界を乗り越える。過去の英雄達がそうだったように、現代の貴女達もやって見せるとね」
神としての振る舞いを引っ込め、椿はいつも通りにそう言った。
「生命はいつだって環境に適応しようとする。人間だけでなく、様々な動物が年月を掛けて進化したようにね。……その中でも、とりわけ人間は別格だよ」
続けて、葵は言葉を挟む。
葵もまた、式姫として長年人を見てきているため、その言葉には重みがあった。
「逆境において、人が取る選択肢は大きく分けて二つ。恐怖や絶望に呑まれて諦めるか、それでもなお立ち向かうか、のね。そして、後者の選択をした者は少なからずその限界を破る。……時には、あり得ない程の力を発揮して」
「……私達にも、それが出来ると?」
「もうやっているじゃない」
アリシアの言葉に、椿が半ば呆れながら即答する。
「いくら神界の法則があったとはいえ、貴女達は常に限界以上の力を発揮し続けていたわ。気づいてる?一度目の神界への進行前に比べて、今の貴女達は数段強くなっているわよ。それこそ、際限なく、ね」
「ぁ……」
最初に気付いたのはアリシアだ。
自身の操る霊力は普段細かく操れる分を最大火力としている。
だが、その細かく操れる霊力の量が大きく増えていた。
それこそ、制御を度外視した最大火力を上回る形で。
「限界以上の力を使っても後遺症が残らない事によって、成長すると同時に常に限界の一歩先を行っていた。……そんな事をすれば、嫌でも強くなるわね」
「それは……確かに」
魔力及び霊力操作やその総量だけではない
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