幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(上)
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なった安東瑠衣子の相次ぐ改革に対し、従来の重農政策の維持と封建領主の権限を護ろうとする一部の重臣は当然抵抗したが若殿である安東光貞はそれを推し進めようと家臣団の屋敷を回った。
「‥‥我々が 独自に財源を構築するのであればそれを支援し、干渉は最低限に留める、と言うことは間違いないのですね」
瑠衣子は柔和な微笑を浮かべ頷いた。
「我々も出資するのは吝かではありません。あぁもちろん自助が困難というのであれば商人や州政庁の吏員が協力しましょう。
主家の意向として家臣達の権限を犯すのはあくまで緊急時ゆえのやむを得ぬ措置であることを理解していただきたい」
何名かは自身の領地について思案し納得したのか”若奥方”と”若殿”に一礼をし、大殿に深く頭を下げ恭順の意を示した。
瑠衣子は彼らの努力についてはなんら奸計を巡らせてはいない。
彼らが自分なりの工夫をするのであればそちらに投資するのは悪くない、金を稼ぐ手段は多ければ多いほど良いと考えていた。
こうして少なからぬ者かは妥協し、一部の利権を主家と共有することになった――大規模な出資により黒字化が見込めるところはかえって富を得られた者もいた。
だがそれすらができぬ者も居た。
「お待ちくだされ!そうした都市部は御主家と分家が大半を抑えております」
戸守寅英、家臣団の中でも武門の重鎮の老臣である。彼は不破原の知行取りで大派閥を築いている。
「えぇそうなりますね」
彼らは旧領では農地とそこから徴兵した兵卒を率いていた男達である。分権的な体制を支えてきたのは彼らのような男達であった。
「それでは我々は領地から領民を引き抜くことになる!それに我々の収入はどうなるのです」
「そうだ!それにこの計画にある水門は我々の領地にある!大殿といえどここの再建も利用も我々の裁量であることは変わらない筈です!」
彼らは瑠衣子に視線を向けず、公爵親子にのみ目を向けている。
瑠衣子は微笑を崩さないまま目つきがわずかに鋭くなった。
「そちらへの食糧は無利子で貸与します。徴募に応じた頭数だけそちらにも幾分か資金を融通します。復興総局に出仕するのであれば俸禄を支払いますし、業務を丹念にこなせば昇進も考慮しましょう」
「‥‥殿!!」
彼らはそれを無視して”大殿”である明貞公につめよる。
「うむ‥‥商工の復興後に農村部の再開発を行う計画だと聞いている――光貞?」
「はい、えー‥‥今は物流と商工業の再建を優先するべきです。収入が安定すれば駒州などから支援を受けながら農業の再建に取り組めます」
光貞が慌てて頷いた。
「お待ちくだされ!それでは商工の為に我々の領民を金で奪い取るという事ではありませぬか!」
クスクスと笑い声が響いた。
「領民?その何割が難民です?何人が田畑を
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