猫娘と最終章:さらに向こうへ
NO.112 引き継がれる思い【最終話】
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ごしたい』という思いは打ち砕かれてしまっていた…。
それでも出久の傍らには常にフォウがいてくれていた。
だから寂しくなかったというのは嘘とはいえ、孫たちの成長も見れてもう出久は満足していた。
そんな時に出久は個性を使っている時に自身の体が次第に若さが失われていくのを感じて、「とうとうその時が来たか…」と実感し、ワン・フォー・オールを引き継がせるための弟子をとった。
………それから、さらに数年の月日が流れて、
かつて、ゴミだらけだったと言ったら「嘘だー」と言われるほどに綺麗な海浜公園で出久は弟子に車椅子で押されながらも散歩をしていた。
すでに出久からは若さが失われて、ヒーローも引退し後は寿命が尽きるのを待つだけだった。
「師匠……」
「うん……きっと今日なんだと思う」
「そうですか……」
「…………」
弟子との間には悲痛な空気などなく、出久はもうすべて受け入れていた。
「私の寿命を受け取る事は……」
「…………」
「しないですよね……わかっています。師匠はもう十分頑張りました」
無言で弟子の言葉を受け流す出久。
「いいかい……。僕が教える事はすべて教えた。後はお前が頑張る番だよ」
「はい……」
「大丈夫……信頼できる人達に思いは託してきたから……」
「…………はい」
少しの間を置いて弟子は答える。
「覚悟するんだよ……。まだお前は100%を引き出していない。つまり、これから先代の個性も発現していく。当然、僕のも……僕のが操作するのに一番つらいと思うよ……なにせいっぱいあるから……」
「はい。頑張ります!」
「その意気だよ。大丈夫……辛くなってもいつでも会えるから……」
「はい……!」
弟子はもうこれが出久の最後の残す言葉になるのだろうと覚悟した。
「ああ……。でも心残りがあると言えばあるね……。お前の成長もだけど……もう会えない人達と……また会いたいものだね……」
「あの世というのが本当にあればきっと会えますよ……」
「そう信じたいね……。手を、おだし……」
「ッ! はい……」
弟子はそれがなにかの合図だと悟り、苦い顔をしながらも手を出した。
そして出久は弟子の手に手を置いて、最後の個性を発動させる。
すなわち―――……、
「あっ……流れ込んできます。師匠の最後の命が……」
「それがわかれば上出来だね。頑張るんだ、……よ……」
そしてついに出久は魂を全部使い切って事切れてあの世へと旅立った……。
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