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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
こうしてアタシは、出てこれた。
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対悪。
二人はそう教えられ続けた。
今さらそんなものを否定するなど、到底できない。
それに、
「む、無理よ…!」
折角ここまで来たんだ。
生きるために入信した人間同盟。
死ぬ気で働き、やがて布教活動が評価され、二人は支部の代表を任せられるほどにまでなった。
周りからは異例のスピード出世であり二人同時の支部長だと言われ讃えられた。
この地位と名誉は、捨てられない。
もしサーヴァントが悪魔であることを否定すれば、周りからの評価は落ち、教祖様からは失望され降格は間違いなしだろう。
悪魔の手に堕ちた娘の言うことを聞くか。
教祖様の教えを貫くか。
宗教に心を染められた二人がどちらを選ぶかは、明確であった。
「葵…聞いて…彼らは悪魔なの。」
「…あっそ。」
拾い上げたボウガンを、撃つ。
放たれた矢は母親の足に命中し、叫び声を上げて崩れ落ちた。
「ああ…ああ!!あああああ!!!!」
血の流れる足をおさえ、痛みから呻く母親。
いや、こいつはもう母親ではない。
子供の言うことよりクソのような宗教に味方した時点で葵の、"アタシ"の親ではない。
「お前…なんてことを!!」
父親が叫ぶが、無視して踵を返す。
殺そうと思ってたが飽きたのだ。
「どこへ行く!?葵!!」
「飽きた。香子んとこ帰ってえっちする。」
「な…何を言ってるんだ!!」
子供のように純粋に、さも当たり前のように言い、葵は南京錠で閉ざされた扉をこじ開ける。
その細腕からは考えられない力で鎖を引きちぎると、ドアを勢いよく開けた。
照明が眩しい。
光に目が慣れてくると周りには教徒達が待っていた。
おそらく緊急浄化した両親を褒め称える予定だったんだろう。
だが出てきたのは緊急浄化を施されていない契約者。
血にまみれ、薬でもキメているのではと思うくらいに清々しい笑顔をした源葵。
その光景に教徒達は後ずさる。
「なに?」
怯えた目で見てくる教徒が鬱陶しく、にらみかえす。
すると彼らは遠ざかる。
面白い。けど殺すのには飽きたのでそのままスルーする。
ここを出ていく。大好きな香子に会う。
それだけが今、彼女の頭の中にあることだった。
?
「契約を…肩代わりする…?」
いきなり現れた少年にそういわれ、戸惑う。
契約を肩代わり、とはすなわち
「僕が君のマスターになろう。あ、自己紹介がまだだったね。僕は
神代正義
(
かみしろ まさよし
)
。人間同盟の教祖だ。」
手をさしのべた少年は自らを教祖だと名乗った。
周りからも声援が聞こえる辺り、それは本当なのだろう。
「君達悪魔にも正義の心があるのは知っている。どうだろう?僅かでも正義の心があるのなら、僕と一緒に世界を
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