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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
こうしてアタシは、出てこれた。
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られなければ自分は出てこられなかった。
なのでこのバットには感謝はしている。

「〜♪」

ご機嫌な鼻歌を続け、もう一人の男の脇腹にバットをフルスイングで叩き込む。
だって武器を振り上げて隙だらけのお腹だったんだ。ついフルスイングしたくなっちゃうじゃない。
それにメキメキと嫌な音をたて、バットは食い込む。
男のなんとも言えない苦悶の表情。それが今の葵にはとてもたまらなかった。

「っ。」

とっさに感じた何か。
それに対応し振り向き様にバットを振るうと何かが火花を散らして弾かれた。

「動くな…一歩でもうご」

ボウガンをかまえた男。
動けば撃つ、そう伝えたかったんだろう。
だがそれを言い切る前に、葵は最初に殺した男の頭から斧を引き抜き、投げた。
最初の男同様、ボウガンをかまえていた男もまた脳天に斧が突き刺さり絶命。
こうしてこの部屋で生きているのは葵、そして父親と母親という家族のみとなった。

「やっと…家族水入らずだね。」

葵を相手にしていた部下達はこの教徒達の中でも一際腕に自信のあるものばかりだった。
なんならモンスターだって倒したことがある。
とはいっても群れからはぐれたバジリスクだったり、空腹で衰弱していたワイバーンだったが。

「い、いや…来ないで…!!」

周りから称えられていた彼らは何も言わぬ死体となった。

「来ないで…来ないで!この悪魔!!」
「実の娘にさぁ…それはさすがにないんじゃなーい?」

この人間同盟支部長の、実の娘によって。

「あなたなんか私達の子じゃない!!悪魔なんか産んだ覚えも!育てた覚えもない!!」
「あーやだなー。アタシすっごい傷付いた。」

怯える母、そしてそれを庇うように肩を支えている父。

「けど殺さないであげる。条件を飲んでくれたらね。」
「条件…だって?」

バットを杖代わりにしてよりかかり、その赤い瞳で見下しながら娘だった悪魔は言った。

「取り消して。」
「え…?」
「アタシのサーヴァントの紫式部。それが悪魔だってことを取り消してよ。」
「…。」

両親はこの人間同盟に入信した際、教祖からこう教えられている。
この世界崩壊後、ある特定の人物に"サーヴァント"と名乗り、歴史の人物の名を名乗るものがいる。
彼らは人ならざる力を使いこなし、契約を交わしたものを"マスター"と呼び慕い、守る。
しかしそれは罠なのだ。
契約とは魂の契約。
サーヴァントとは悪魔であり、契約した人間の魂を狙う。
ただ守ってくれる?そんな虫のいい話があるわけがない。
契約させられた人達は悪魔に騙され、堕落した人間だ。
教祖の友人達もまた、サーヴァントに惨たらしく殺されたと聞く。
サーヴァントは悪魔。サーヴァントは絶
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