第6部 贖罪の炎宝石
第6章 出撃
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その頃、魔法学院。
己の『炎』を平和的に利用するために、コルベールがたどり着いたのは、『動力』であった。
熱の力を……、何かを動かす力に変換させる。
そんな思想を抱いているコルベールにとって、ゼロ戦、そして過日ウルキオラが乗って帰ってきた『くるま』にくっついていた『えんじん』はまさに彼が求める『動力』の具現化した姿であった。
過日、彼はさっそく、ウルキオラがもってきた『くるま』、簡略固有名称を『らんえぼ』の研究を始めた。
実に面白いものであった。
内燃機関である『えんじん』もさることながら、走行時の衝撃を吸収し、走行姿勢を安定させる『さすぺんしょん』、エンジンの回転数を走行に合わせた回転数に合わせる『とらんすみっしょん』、すべてがコルベールの研究欲を大きく駆り立てた。
この『らんえぼ』という『くるま』の基本的な構造や仕組みをウルキオラから根ほり葉ほり聞いたコルベールは、研究室でそれを事細かに書き留めていた。
そんなことをしていると、研究室の前にウルキオラが現れた。
コルベールは両手を広げた。
「おお、ウルキオラくん、出発かね」
出発の準備が出来上がったウルキオラであった。
といっても、いつもと変わらない。
斬魄刀を腰に差し、デルフを背に差す、いつもの姿であった。
「ああ」とウルキオラはうなずいた。
今朝がたアルビオンに向け、艦隊が出航した。
ゼロ戦を搭載するには、フネが航行中である必要があるため、出航を待っての出陣となったのであった。
それから、コルベールは言おうか言うまいか、迷ったような仕草を見せた後、口を開いた。
「ほんとは……」
「…なんだ?」
「ほんとは、友人を戦場になど送り込みたくはないのだ」
苦しそうな言葉であった。
「…友人?」
「ああ、なんというか、不愉快かね?」
ウルキオラは押し黙った。
友人という言葉の意味を理解していないからだ。
「友人とは、なんだ?」
「えっ?」
「俺には、友人と呼べるものがいたことがない。いや、そもそも、友人の意味すら分からん」
コルベールは、驚いたように口をポカーンと開けていたが、少しして、ふっと笑った。
「そうだな…。なんといえばよいのか…志、目標を同じくする者、とでもいうのか…」
「志?目標?…それが同じならば友人なのか?」
ウルキオラにはよく理解できなかった。
「いや、それだけではない…難しい質問だね」
コルベールは困ったように頭をかいた。
「ただ、言えることは、失いたくない存在…であることは間違いない。失うと悲しく、まるで胸に穴が開いたような感覚になる」
ウルキオラの瞳孔が少し開いた。
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