第17話 千堂の力 前編
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を見て千堂だと分かるとゆっくりと銃を下ろした。
「千堂か……俺に何をした?」
「ウルフビールスを注入したんだ。瀕死のお前を救うにはこれしかなかった」
「ウルフ……ビールスだと?」
ウルフビールス。大幹部のゾル大佐が変身する黄金狼男が保菌する特殊ウィルスだ。
しかもそれを注入された人間は人狼化し、保菌者の犬笛に操られるという恐ろしい特性を持っていた。それを持つということ…それは千堂が『狼の改造人間』であるということを意味した。
「そう。俺の能力の一つだ。尤もゾル大佐の持つウルフビールスとは違って新型なもんで特性が少し違うがな……」
そう言うと千堂はどこからともなく注射器を取り出して自身の血液を抽出すると増沢の首筋に注射する。
「痛ッ!?何をする!?」
「何って……血清だよ」
「血清?」
「そう。よく言うだろ?『生物兵器を作る時にはワクチンも一緒に作れ』ってな。このウィルスの場合、感染しても俺の血液中に流れる血清成分を抽入すれば人狼化は防げる」
増沢は不思議そうに腕の噛み跡を見つめる。
「それで……レレイ達はどこに?」
「すまない。気を失っていたもんで俺にもさっぱり……」
「そうか……」
千堂は失意の中、公用車の隅に目をやった。そして"とある物"を見つけた。
「増沢さん、あれは……ロウリィの…」
千堂は地面に打ち捨てられたロウリィのハルバードを指差す。
「ああ、間違いなく神官のお嬢ちゃんの斧だ。奴らめ、さすがに武器だけは置いていったか「ちょっと失礼するぞ!!」ッ!?何をする!?」
千堂はハルバードの元に駆寄ると、なんと取手の匂いを嗅ぎ始めた。いや、より正確にいえば取手に付着したロウリィの匂いを嗅いでいた。
「千堂!お前、この非常時になんてハレンチな!!」
増沢は顔を真っ赤にしてまくし立てる。
「勘違いするな!!これは必要なことなんだ!!」
「何をどう必要としたら斧の取手を嗅ぐんだ!!」
増沢がもっともらしいことを言う中、ひとしきり匂いを嗅いだ後、千堂は立ち直って深呼吸をするように大きく周囲の空気を吸い込む。
千堂は風によって運ばれてくるその匂いの源を自身の"嗅覚"を頼りに少女達の現在地を探っているのだ。
そして目をカッと見開くとボツリと呟いた。
「見つけた……。南西の方角、時速90キロで移動中……か。」
そう言うと千堂はまたも"高速"で駆け出し、不穏分子の追跡とレレイ達の救出に向かった。
「………結局、何がしたかったんだ?あいつは?」
増沢は一人、大きな勘違いをしたまま取
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