第八幕その四
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「しっかりと」
「それは何処の国も同じね」
「そうですよね」
「何もなくてもね」
「チェックや警備はですよね」
「忘れたらいけないから」
「フェアリーの国もそれは同じで」
それでというのです。
「しっかりとです」
「警備をしているのね」
「そうしています、ですが」
「ですが?」
「平和ですね、今日も」
門番さんは笑顔でこうも言いました。
「オズの国全体がそうでしょうが」
「そうね、平和が一番よね」
「本当にそうですよね」
「平和だと」
本当にというのです。
「それだけで幸せよ」
「オズの国は平和なので」
「そのことからもね」
「いい国ですね」
「私もそう思うわ」
「おや、誰か来るぞ」
リンキティンク王は正門に続いている黄色い煉瓦の道の先を見てそのうえでその場にいる皆に言いました。
「あちらから」
「そうですね、誰でしょうか」
王子もその人を確認しました。
「一体」
「小さくて太っておるのう」
つまり小太りだというのです。
「そして長い髭にタイツみたいなズボンにシャツか」
「それにブーツ、あれは」
「土色の顔じゃしな」
「ノーム族の人ですね」
「そうじゃな」
「ラゲドーさんじゃないかしら」
王女は次第にこちらに来るそのノームの人を見て言いました。
「まさか」
「えっ、ラゲドーさんというと」
門番さんはその人の名前を聞いて言いました。
「前のノーム王だった」
「そう、あの人よ」
「オズの国に何度も悪いことをしようとした」
「もう悪い気持ちはなくなってるけれど」
それでもというのです。
「あの人よ」
「それは大変ですね」
門番さんはここまで聞いて身構えました。
「そんな人が来るとなると」
「だから悪い気持ちはなくなってるわよ」
「ですが前にそんなことをした人が来るなら」
「それならなの?」
「気をつけないと」
このことは忘れてはならないというのです。
「昔悪い人だったことは事実で悪いこともですね」
「かなりしてきたわ」
「今はそうでもまた何をするかわからないですから」
「その考えは違うんじゃないかしら」
王女は警戒する門番さんに言いました。
「あの人は確かに悪い人だったけれど」
「今はですか」
「違うから、そのことがわかっているなら」
それならというのです。
「もうね」
「警戒することはないですか」
「ええ、むしろ警戒したら」
昔悪い人だったからというのです。
「そちらの方がね」
「よくないですか」
「人は誰でも間違いを犯すわね」
王女は残念そうなお顔で言いました。
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