第八幕その六
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「僕はそこまで考えていないけれどカルヴァンの考えではね」
「あっ、プロテスタントの一派の」
「あの人だね」
「彼は強い運命論者でね」
先生はそのカルヴァンのお話もしました。
「人それぞれの運命は既に神が決めているとしているんだ」
「じゃあ僕達の運命も?」
「全部もう神様が決めてるんだ」
「カルヴァンさんの考えだと」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「僕は国教会の信者でカルヴァン派の信者じゃないけれど」
「結婚については」
「縁がない運命だっていうんだ」
「そうなの」
「そうじゃないかって思うよ」
こう皆にお話しました。
「実はね」
「ううん、どうかな」
「それは違うんじゃない?」
「先生の運命についてはね」
「そうじゃないと思うよ」
「もうね」
「結婚についても」
皆は先生にお話します。
「幸い先生カルヴァン派じゃないし」
「自分で言ってるし」
「国教会だって」
「じゃあそんな強い運命論じゃなくて」
「結婚出来るよ」
「先生はね」
「そうかな、僕は既に充分幸せだし」
結婚していなくてもというのです、今度はこう言うのでした。
「皆がいつも一緒にいてくれるから」
「それでだっていうんだね」
「もうこれ以上幸せなことはない」
「そうも言うんだね」
「そう思うからね」
だからだというのです。
「だからね」
「いや、それはね」
「私達いつも言ってるけれど」
「もっと幸せになれるよ」
「先生はそうなっていいよ」
「だってとてもいい人なんだから」
「そうかな、けれど本当に僕が思うにね」
先生ご自身がです。
「僕は結婚とはね」
「無縁だっていうんだね」
「もてたこともないし」
「だからだっていうんだ」
「そうだよ、それはね」
結婚のことはというのです。
「僕にはないよ」
「そうかな」
「違うと思うけれどね」
「先生については」
「このことは」
「そうかな、けれど日本に来ても」
どうかといいますと。
「やっぱり誰も、だからね」
「先生を交際したいって人は出ないっていうんだ」
「結婚したいっていう人は」
「そうだっていうんだ」
「本当に僕はもてないんだ」
とにかくそう信じて疑っていません。
「そのことはどうしようもないよ」
「やれやれだね」
「先生は自分のことがわかってないから」
「これは困るよ」
「いつも思うことにしても」
「もっと周りを見ればね」
「僕達だってわかるのに」
勿論皆はわかっています、先生がもてるかもてないかということについて。
「これじゃあね」
「先が思いやられるわ」
「僕達が頑張るしかないかな」
「ここはね」
「そうだろうね」
「どういうことかわからない
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