第87話『高難易度』
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マジか。結月の言う通り、本当に降りそうな雲行きになってきた。一体どこから現れたというのだ、あの雲は。
今晴登たちは、山の中でも比較的高い、見晴らしのいい場所にいる。そのため雲の様子にもいち早く気づいた訳だが・・・
「──って、言ってるそばから降ってきたぞ!」
「とりあえず、木の下に入ろう!」
ポツポツと雫が降り始めたかと思うと、次第に夕立の様な大雨になった。たまらず晴登たちは、全員で雨宿りできる場所を探す。しかし、見晴らしのいい場所が災いしてか、それが叶いそうな立派な木は中々見当たらない。どこに行っても水滴が入り込んでくる。
「もっと安全に雨宿りできそうなとこはないのか? 洞窟とか・・・」
「こんなに強い雨じゃ、見つけるのが大変そう…」
さっきまであんなに晴れていたのだから、当然誰も傘や合羽は持ち合わせていない。おかげで頭から足までずぶ濡れだ。いくら夏でも、これでは風邪を引く可能性もある。
「くそっ、足元がぬかるんできた…! 皆、気をつけ──」
「きゃっ!?」
「戸部さん!!」
雨で地面がぬかるんできたことを晴登が報告しようとした矢先、優菜が足を滑らせる。しかも運の悪いことに、バランスを崩した先は崖になっていた。
近くにいた晴登は慌てて優菜の手を掴み、引き戻そうと踏ん張る。が、
「ぐ、滑る…!」
「おい、晴登──」
人1人を不安定な地面の上で支えることは、予想以上に困難だった。大地の助けが入る前に、晴登もぬかるみに足を取られ、優菜と共に崖に吸い込まれる。
「うわあぁぁぁ!!!!」
「きゃあぁぁぁ!!!!」
「晴登ぉ!!」
「優菜ちゃん!!」
大地と莉奈が絶叫する中、晴登と優菜はそのまま崖の下の森林へと落ちていった。
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