第87話『高難易度』
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っき96番のスタンプ欄を見た時に気づいたのだが、用紙の90番から100番の枠のみ、他の黒い枠と違ってうっすらと赤みがかっていた。今まで理由はわからなかったが、もしかするとこれは、入手が困難なスタンプということを表しているのではないだろうか。
となると、狐太郎や伸太郎の様に特別な才能を持った人のいないチームは、コンプリートには至れないということになる。これが俗に言う、"満点防止"というやつだろう。面白いじゃないか。
「それじゃ、次に行こうか!」
「ねぇ、ちょっと待って。さっきのチェーンって元に戻さなくていいのかな?」
「あ、確かに…」
ここで狐太郎が慧眼な発言。それはまさに盲点だった。
彼の言う通り、ここでチェーンを戻さないと、次にここに来たチームは何の苦労もなく91番のスタンプを入手できることになってしまう。それは望ましくない。
「じゃあ早く戻さないと。暁君、お願い・・・って、さすが、もう戻してたんだね」
「え? 俺は何もしてないぞ…?」
「え!? じゃ、じゃあ何で閉まってるの…?!」
振り返ると、そこにはケースにチェーンが絡まった、初めの状態のスタンプ台があった。伸太郎が戻していないのであれば、当然誰も戻していないだろう。つまり、これは勝手に戻ったということに・・・
「……先行こうか」
「……そうだな」
何だか寒気を感じた晴登は、この場から早く離れようと促す。きっとそういう仕掛けなんだろう、そういうことにしておこう、うん。
*
さらに2時間が経過しただろうか。制限時間の半分はとっくに過ぎたが、未だに集めたスタンプは48個と、目標には遠く及ばない。
「やっぱり上に登るだけじゃダメなのかなぁ」
「もうすぐ頂上ですし、着いてから考えましょう」
辺りの木々が少なくなったきたため、直に当たる日光を手で遮りながら、晴登は目の前の頂上を見据える。あと一息という距離だ。そんな時、
「あれ、他のチームがいるな」
「皆考えることは一緒ってか」
晴登たちとは違う道から頂上に向かう、4人チームが見えた。中々出会わないから忘れかけていたが、やはりちゃんと他のチームもいる。とはいえ、スタンプの取り合いになる訳じゃないから、あまり気にする必要はないのだが。
「って、あのチームよく見ると・・・」
「…ん? おぉ、三浦じゃないか! 奇遇だな」
平らに整備された頂上に着くと、向こうのチームもこちらに気づいたようだ。しかもそのメンバーには、晴登の班の班員である男子が2人ともいた。
「どうだ、スタンプラリーの調子は?」
「まぁ普通かな」
「普通ってどのくらいだよ。でもこっちは結構集
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