第87話『高難易度』
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プ押してきたよ!」
「え、あ、ありがとう。凄いね、柊君…」
「身体動かすのは得意だから。役に立てて嬉しいな」
褒められたことに、フードの下ではにかみながら狐太郎は答えた。こんな表情をされてしまうと、あの高さから難なく飛び降りて着地したことを誰もツッコめない。
「はは…こりゃ俺の負けだな」
大地が苦笑いしながら呟いた。だが仕方ない。ビーチで見せた大ジャンプといい、彼の動きはもはや"人間業"ではない。口にはできないが、彼の体質と何かしら関係があるのではないだろうか。そう思えてしまう。
「一体何者なんだ、柊君…?」
そんな僅かな疑問が晴登の頭の中に浮かんだが、次の瞬間にはもう忘れていた。
*
太陽が真上を過ぎた。午前中は寄り道をしすぎて結局頂上に辿り着かなかったので、一度麓に戻って昼食を終えた晴登一行は、再び頂上を目指す。もちろん、道は変えるつもりだ。
「けどまたあったな、高難易度スタンプ」
「これは…鍵がかかってるのか?」
現在集めたスタンプは29個。そして30個目というところで、またしても特別仕様のスタンプに出会ってしまった。スタンプ台は普通に木の下にあったのだが、肝心のスタンプが透明なケースに閉じ込められている。そしてそれは、チェーンの様な金属で開かないように仕組まれていた。
「鍵というか、この鎖みたいなやつが絡まってるって感じだね」
「解くのには時間がかかりそうですね…」
「ねぇハルト、ボクなら壊せそうだけど…」
「だからダメだって」
莉奈と優菜が解析している横で、結月が脳筋な意見を耳打ちしてくる。今回は氷の力というよりは鬼の力を利用するつもりなのだろうが、それも魔術に変わりはないので、もちろん却下だ。
「ふっふっふ」
「ど、どうしたの暁君?」
「どうやら俺の出番らしいな」
そんな時、伸太郎がいきなり不敵に笑い始めたかと思うと、珍しく自信に満ち満ちた様子で言った。まさか先程の狐太郎みたいに、この難題を解決できるのだろうか。
「ちょっと失礼」
そう言ってスタンプ台の前に屈んだ伸太郎は、チェーンをガチャガチャといじり始めた。晴登たちはその様子を固唾を呑んで見守る。
かなり複雑に絡み合ってたはずだが、果たして・・・
「──うし、取れた」
「すごっ!?」
「ふっ、こんなの知恵の輪と大差ねぇよ。俺がどれだけやり込んだと思ってる」
「それは知らないけど・・・でもこれでスタンプゲットだ! ありがとう暁君!」
「お、おう、どういたしまして…」
狼狽える伸太郎をよそに、晴登は入手したスタンプを押す。今回は91番だ。
ちなみに、さ
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