暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga9-B語り継がれざる狂気〜The End〜
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が無い所為か何の反応もなく落ちていく。そんな中、私に最も近かった巨人が手を伸ばしてきた。

「触るな!」

“ツァラトゥストラ”を振るって、私を握ろうとする巨人の手の平に打ち付けた。魔術である創世結界によって造られた大地をも穿てるようになっている私の分解スキル。それゆえに、巨人の手も一撃で粉砕してやることが出来た。

――手だけで満足? 違うよね? 全部、全部潰すの。足を、腹を、胸を、首を、頭を。潰せ潰せ潰せ――

どんどんハッキリしてくる声と憎悪。かぶりを振って、決して憎悪に支配されないように「黙れ・・・!」声を出す。
そうして巨人たちは穴の底へと落ちた。埋められたら良いんだけど、残念ながらそんな魔法もスキルも持っていない。念のために穴の縁から底を見てみると、巨人たちは腕を伸ばしたり、よじ登ろうとしたりとしていた。でも無駄な足掻きだ。穴の側面は何のコーティングもされていないから、よじ登ろうとすれば崩落する。自分で自分の墓を埋めるようなものだ。

――トドメを刺さないの? 馬鹿なの? 潰せ。徹底的に。完璧に。完全に。一切合切の容赦なく――

「ふ・・・ふ・・・クス・・・クスクス」

口が自然と歪み、そんな笑い声が零れてくる。すぐにハッとして左手で口を押える。限界突破形態の持続時間、つまり負の感情に支配されるまでのおおよその時間を、リンドヴルム事件からたびたび計ってきていた。結果、スキルの限界突破時間は徐々に長くなり、逆に感情に支配される時間が短くなっていく、と判明した。

「り、リミッター解じ――・・・!」

最後まで言い切ることが出来なかった。何故なら大穴からカンコンカンコンと木と木がぶつかり合う音がフェードインしてきたからだ。早鐘を打つ心臓を抑えるかのように胸を押さえ、「来る!」と“ツァラトゥストラ”を構える。

――エクスペクタクロ・デ・コミコ――

「木人形・・・!」

何十体という木で出来た人形が、ゴキブリみたくワラワラと大穴から這い出てきていた。

――クスクス。壊し甲斐のある木偶人形じゃない。振るえ、私の第四偽典で薙ぎ払え――

「っ・・・!? 手が、勝手に・・・!?」

右腕だけが私の意思とは無関係に動き、“ツァラトゥストラ”を振るい始めた。そして迫りくる木人形たちを次々と粉砕していく。

――そろそろ体、私にちょうだい?――

全身が総毛立つ。このままだと確実に乗っ取られる。それが判った私は、敵の軍勢に包囲されつつあるというのに「リミッター解除・・・!」を行った。“ツァラトゥストラ”は十字架から腕輪へと戻り、魔術にも通用していたスキルもその効果を失った。待っているのは、木人形に対して何も抵抗手段を持たない私の・・・敗北。

「私はどうして・・・魔術師じゃないの・・・?
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