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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
まだまだあたしは、甘かった。
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「ったくいってぇなぁ…」
ふちぶちと音をたて、まな板に固定するためのベルトが引きちぎれる。
「手首をきる?そんなもんで契約切れると思ってんのかよ?えぇ?」
「う、うそだ…確かに気絶させたはず…!!それにそのベルトは人の力なんかじゃ…!!」
気絶したはずの娘が固定具を引きちぎり、ゆらりと立ち上がる。
「まぁでも、こうやって"アタシ"が外に出られたワケだし。感謝はしてるよ。父さん、母さん。」
ゆっくりと顔をあげる。
血に濡れた顔。
そして青かった瞳はそれに染まったかのように紅く。
「だれ…だれなの…ねぇ!!」
見慣れたはずの娘。
だが今の彼女は母親にとって、娘以外の"何か"に見えた。
「誰?誰ってアタシは"源葵"。あたしが産み出したもう一人のアタシだよ。」
歯を覗かせにんまりと笑う。
そう、アタシはアタシ。源葵。
源葵がずっとおさえつけてきた欲望達が形になって出来たモノ。
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