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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
まだまだあたしは、甘かった。
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ミになったんだ。

「ど、どうするつもり…!?」

拘束器具、切断するための工具、そして血の跡。
その要素からこれからあたしがされることはまともではないことは簡単に予想できた。

「どうするって、これから緊急浄化を行うのさ。」
「緊急浄化…!?」

緊急浄化。
さっきもそう言っていたが何をどうするのか、
それはいたってシンプルかつ、残酷なものだった。

「その証を切り落として、悪魔との契約を断ち切るのよ。」
「証…切り落とす?切り落とすって何を!?」

分かっている。大方予想はつく。
でもこれから起きることは予想と外れてほしいと、心の底から願って尋ねた。

「不便になるかもしれないけれど我慢してちょうだい、葵。契約の証…つまり手首を切り落とすの。」
「…!!!」

部下の一人が斧を持ち、こちらへとやってくる。
手首を切る?そんなの考えられない!

「っ…やめろ!!離せ!離せよ!!!」

逃げようとしたら父親と数人の部下に押さえ付けられる。

「ふざけんな!!おい!!おい!!!」
「いつのまにこんな汚い言葉遣いを…やはりこれも悪魔の仕業だ…早急に緊急浄化を始めないと…!!」
「おかしいのはアンタ達だ!!香子は何も悪くない!!悪魔なんかじゃない!!」

そのときだ、
後頭部に鈍痛を感じ、あたしはここで意識を失う。

背後には、バットをフルスイングし終えた部下。

「お前…葵に何かあったらどうするんだ!?」

気絶させた部下に父親が掴みかかるが、

「下手に暴れて怪我をするよりかは余程マシかと。それも全て救済の為です。それよりも支部長、時は一刻を争います」

そういいくるめられ彼は仕方なく部下の行いを許した。

それからあたしの腕は頑丈そうな革のベルトで何かの器具に固定される。
さながらそれはまな板。
モノを切るためのまな板だ。

「じゃあ、やろう。紗知は見なくてもいい。これはさすがに酷だからな。」

妻に見なくてもいいよう伝える父。
だが彼女は目をそらさなかった。

「娘だもの。葵が痛い思いをするのに目を背けるなんてできないわ。」
「それも、そうだな。」

そして父は部下から斧を渡され、振りかぶる。
せめて痛みを最低限にするよう、全力で切りかかって一度に済ませる。
狙いがぶれてはいけない。狙うのは手首。
中途半端に切れないよう、一思いに切る。
娘を救うのは親の義務。
そう言い聞かせ、父親は娘の手首めがけて斧を振り下ろした。


が、

「おごぉ!?」
「あなた!?」

手首が切られることはなかった。
斧がふりおろされることはなかった。
結果として何が起こったか。

「い、一体何が!?」

父親が吹き飛んだ。

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