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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
まだまだあたしは、甘かった。
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あたしと引き離された香子は。

「お願いします。ここを通してください…!」
「通すもんか!この汚ならしい悪魔め!!」

人間同盟の建物に入っていきたいが教徒の奴等がそれを許さない。
道を阻んでいた彼らはそのうち、香子が一人なのをいいことに全員で囲い始めたのだ。

「倒せ!悪魔を倒せ!」
「こいつは弱そうだぞ!やっちまえ!!」

教徒の一人がシャベルを手に持ち、香子に襲い掛かる。

「っ!」

すかさず梵字を書き、それを打ち出して迎撃するが…

「ぐあぁっ!?」
「大丈夫か…!?くそっ!悪魔めやりやがったな!!」

それがいけなかった。

「悪魔は俺達の仲間を傷つけた!さぁやってやれ!!」
「よくも私の友達を…!!百倍にして返してやる!!」

攻撃すれば退いてくれるのではないか?
そう思ったがそれは火に油を注ぐ結果となって返ってきた。
相手は人間、だがこちらはキャスタークラス。
さらに人数は30を越えている。
戦うことは出来るが得意ではない香子には悪すぎる状況であった。

そのときだ

「やめるんだ。」

その一言で、教徒達は紫式部を襲うのをやめた。
そして教徒達は一斉に礼をする。

「きょ、教祖様!!」
「なぜ教祖様がここに…!?」

「教祖…?」

突然現れ、教徒達にやめろと呼び掛けたのはまだ成人にも満たないであろう少年だった。
学生くらいと推測される背丈ではあるが彼が教祖様と呼ばれ、香子は一瞬耳を疑った。

「皆、下がっていてくれ。」

教祖がそういうと、香子を囲っていた人はモーゼが海を割ったかのごとく左右に別れる。
そうして開けた道を歩み、教祖と呼ばれた少年は香子の前までやってきた。

「状況は大体分かった。入信者が、悪魔と契約させられてたんだね。」

教祖の言ったことに、彼らは全員うなずく。

「なるほど。だったらこれは…僕なりの救済だ。」
「教祖様!それは危険すぎます!!」
「もうあなたは充分です!既に悪魔の契約を肩代わりされておられるのに…!!」
「嗚呼…悪魔のために己の身を犠牲に…なんとお優しい…!」

周りが止めに入ったり、賛辞を送る中教祖は悪魔と呼ばれた香子にそっと手を伸ばし

「単刀直入に言うよ、その契約の呪い、僕が喜んで引き受けよう。」

?

連れてこられた先は地下室。
真っ暗だったが部下達が壁に等間隔にかけられた蝋燭に火を灯し、部屋の全貌が明らかになった。

「なにこれ…!?」

何かを固定するための器具、頑丈そうな手枷。
部屋の隅に並べられているのは斧や鋸、ペンチと工具。
さらに床をよく見て気付いた。
赤茶色のシミ、そしてさっきから鼻にくるにおい。
これは"血"だ。
血がかわいてシ
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