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おっちょこちょいのかよちゃん
65 文化祭前夜の心配事
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っちゃう!」
 二人は急いで教室に戻った。

 清水市内の高校。校内は本格的な文化祭の準備へと突入していた。三河口は唐揚げ・焼き鳥に使用する肉屋への予約は済ませていたので、看板作り及び屋台の立ち上げに回っていた。模擬店の区画を行い、そこに集会用テントを設ける作業である。労働が必要な為、皆体操着に着替えていた。濃藤はクラスメイトと共にその集会用テントを持って来た。
「テント持ってきたぞ」
「よし」
 皆はテントの脚を組み立てた。十人ほどが取り掛かった。何しろ失敗したら怪我人が出る恐れがある為、人数は多め、かつ慎重にやらなければならないのだから。
「よし、立った立った!」
 テントは無事に立ち上がった。そして借りる予定のガスコンロや家から持参する事になった鍋を持って来る。屋台の準備も順次進んでいた。
 三河口はまたこの日も遅くなった。
「三河口君」
「ああ、奏子ちゃん」
「一緒に帰ってもいいかな?」
「いいよ」
 三河口は奏子と共に夕方のバスに乗った。
「あの、三河口君って誰か誘ってるの?」
「ああ、今居候中の家の隣に住んでる子を誘ったよ」
「へえ、私も近所の子を誘ったんだ。小学三年生の女の子だよ」
「偶然だね。俺が誘ったのも小三の女子だよ」
「へえ、もしかしたらその子と同い年同士仲良くなれるといいね」
「そうだといいね」
 二人は駅前でバスを降り、電車に乗った。二人は同じ駅で降りたが、方向が異なる為途中で別れた。
「じゃあね〜」
「うん、またね」
(三河口君と一緒に帰れてよかった・・・)
 奏子は三河口と距離を縮められた感がして嬉しくなった。
(文化祭、頑張ろうね、三河口君・・・)

 三河口は文化祭の最中に異世界の敵だの、日本赤軍の人間だのが攻めてくるのではないかと心配になった。
(この文化祭こそが、学校の皆が一番楽しみに、そして盛り上がる時なんだよな・・・。そんな時に奴らが来てメチャクチャにするんじゃないかね・・・。いや、考えすぎか?)
 例の地震のような現象が起きてからは清水も不安になったものである。どれだけの敵がこの清水市に来襲して来た事か。アレクサンドルとアンナの兄妹、オリガ、丸岡修、奥平純三、バーシム・・・。そして東京の地ではアドルフ、日高敏彦が来襲していた。だが、全国的に見れば自分達が関わっていない遠い地でも襲撃しているとか。現に札幌に住んでいるありもイマヌエルと共闘を頼まれており、神戸のゆりの家の隣人の女子高生が異世界の道具を持って戦っているとか・・・。それに奈美子から護符を受け継いださりのいる名古屋にも襲来する可能性もある。
(まあ、奴らがかよちゃんの杖を狙うというならば、寧ろ文化祭の地で招き入れ、俺も護衛も兼ねるって作戦でもいいか・・・)
 三河口は居候の家へ帰宅していった。

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