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おっちょこちょいのかよちゃん
65 文化祭前夜の心配事
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ルームとなった。戸川先生の話が始まる。
「おはようございます。暑さも少し和らいできましたね。今日は笹山さんが風邪を引き、熱を出して欠席されているとの事です」
(笹山さんがお休みか・・・)
 かよ子は笹山も高校の文化祭に訪れる予定である事を知っていたので、もしかしたら笹山はその体調不良で来られないかもしれないと思った。
(あ、でも・・・、それ以上に心配してるのが・・・)
 かよ子は藤木の方を見た。藤木の方がかよ子以上に不安になっていたのだ。
(さ、笹山さんが休みだって・・・!?)
 藤木は絶望の大波に溺れる事になった。なにしろ、文化祭当日までその熱が長引けば折角そこで笹山との貴重かつ楽しい時間を過ごす事が幻に終わってしまうのだ。
(もし笹山さんが来れなくなったらどうしよう・・・!!)
 藤木は泣きそうになった。

 授業の合間の休み時間、かよ子は藤木を見つけると、彼の近くに向かった。
「藤木君」
「ああ、山田かよ子か。何だい?」
「あ、ちょっとこっちに来て」
 かよ子は藤木を人気のない廊下へと連れて行った。
「藤木君、昨日、まるちゃんやたまちゃんから聞いたんだ。藤木君は、笹山さんが好き、なんだよね?」
「う・・・!!い、いや、そんな事ないさ・・・」
「嘘つかなくていいよ、藤木君、凄く嬉しがってたし」
 藤木は誤魔化そうとしたが、かよ子には通用しなかった。
「う・・・」
「私だってね、杉山君が好きなんだ。でも私、おっちょこちょいだから、受け入れてくれるか分からないんだ」
「そういえばさくらがばらしちゃってたね」
「あの時はとても恥ずかしかったけど、気持ちだけは伝える事ができたよ。でも、それでも付き合えたとかそういうわけじゃないし・・・」
「でも、君はおっちょこちょいでいいよ。僕は卑怯って言われるんだよ。笹山さんに好きなんて言ってもこんな僕なんて相手にしてくれるわけないし。それに・・・」
「それに?」
「僕は運の悪い男だし、笹山さんに何かといいとこ見せようとしても、空回りするし、裏目に出て逆に不愉快にさせる男だし・・・。それに今日だって笹山さんは休んだじゃないか。もしかしたら文化祭に来られないかもしれない・・・」
 藤木はますます暗い顔になった。
「藤木君。そんなマイナスな事考えちゃ駄目だよ!」
「え?」
「笹山さんの熱が文化祭の日までに下がる事をお願いしなくちゃ!お祈りしよう!」
「あ・・・、うん」
「そうすれば笹山さんの熱も下がるはずだよ。それから藤木君の気持ち、きっと笹山さんにも伝わるよ。私だって結果オーライなんだけど、杉山君に伝わったんだ。もっと自身持とうよ!」
「ああ、うん、そうだよね。ありがとう!」
 かよ子は何とか藤木を元気づけさせた。そしてチャイムが鳴った。
「あ、もう授業が始ま
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