ターン29 雷鳴瞬く太古の鼓動
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モンスター1体を私の手札かフィールドから破壊することで、指定されたカードを1枚手札に加えることができる。ダイナレスラー・パンクラトプスを破壊し私が選択するのは通常魔法、究極進化薬だ」
「究極進化薬……」
以前のデュエルでも先行1ターン目から使用し、強固な布陣を作り上げるために一役買ったカード。しかし兜自身もそのデッキも、もうあの時と同じではない。
「そしてレベル1モンスター、アルゴザウルス1体を真下のリンクマーカーにセット。リンク1、リンクリボーをリンク召喚……だが、これも中継地点。このリンクリボーは、サイバース族のリンクモンスター。これをそのまま素材とし、左のリンクマーカーにセットする。リンク召喚、セキュア・ガードナー!」
リンクリボー 攻300
セキュア・ガードナー 攻1000
戦闘に強いリンクリボーを切ってまで呼び出されたのは、それとは対照的に効果ダメージに強い能力を持つ新たなリンクモンスター。だが兜の狙いは、効き目があるかも怪しいバーンメタなどではない。何かに気が付いた鳥居が、ピクリと眉を動かした。
「究極進化薬の発動コストには、墓地に恐竜族とそれ以外の種族を持つモンスターが1体ずつ必要……なるほどな、無駄のない動きだ」
言葉の内容とは裏腹に、まるで称賛する気などこもっていない冷たい口調。背筋が寒くなるが、だからといってここで止まるわけにはいかなかった。
「わ……私は通常魔法、究極進化薬を発動。墓地から恐竜族のアルゴザウルス、及びサイバース族のリンクリボーを除外することで、デッキからレベル7以上の恐竜族モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。山を割り、空を割り、己が信じる覇道を太古の大地に刻め!レベル10、究極伝導恐獣!」
究極伝導恐獣 攻3500
以前この書斎でこのカードを使った時は、ソリッドビジョンのないカードとして机の上に置かれていただけだった。
しかし、今回は違う。ソリッドビジョンとして投影され「BV」が実体化させた恐獣の質量はまごうことなき覇者の威圧感を放ち、その太い脚と強靭な爪が絨毯を力強く踏みにじる。さらにそれだけではなく、まるで主たる兜を守るかのようにその太い尾を回してバリケードを作りつつ、対戦相手の鳥居へと敵意のこめた低い唸り声を放った。
それは明らかにソリッドビジョンによる演出の範疇から外れた、まるで実際の生物であるかのような動き。エースモンスターのそんな動きに戸惑う兜とは対照的に、鳥居がさほど驚いた様子もなく表情を歪めて苦笑いする。
「こ、これは一体?」
「なるほど『BV』の副産物、ごくまれに発生するカードへの意思の発現、仮称『精霊のカード』、か。まさかいつかの儚無みずきよりも前、こんな身近なところ
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