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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン29 雷鳴瞬く太古の鼓動
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え声での指摘に対し、わずかな間。しかしその表情が変わることはなく、その答えもない。

「……さあ兜大山、ふたつにひとつだ。あんた自身の身の安全と引き換えに海上プラントに関する一切のアンタの手にした権利を差し出すか、力づくで差し出させるか。俺はどっちでも構わない」
「……いい、だろう」

 躊躇したのは、ほんのわずかだった。酒のせいで気が大きくなっていたのもあるし、下手に逆らうと何をするかわからない鳥居の異様な雰囲気を察したというのもある。時間稼ぎの継続というのも、決して間違いではない。
 だがそれ以上に、彼は強化を遂げた自分のデッキに自信があった。それは、デュエリストならば誰もが持ちうる当然の感情。かつて敗北を喫した目の前の男に今度こそ勝てる、そう思った。だから彼はゆっくりと手を伸ばし、そのデュエルディスクを掴んだ。立ち上がり、机を挟んで距離を取り向かい合う。扉は鳥居の後ろ側、警備員が来ればすぐに取り押さえられる位置取り。

「「デュエル!」」

「せ……先攻は、私が貰う」
「いいだろう、好きにすればいい」

 余裕とも無関心とも取れる態度に警戒しつつ、商人としての兜の鋭い目はその短い言葉に隠された違和感を見過ごさなかった。彼の得意としていたはずのエンタメデュエルは始まる気配すら見せず、以前の彼からはなにか根本を揺るがすほどのことが起きてしまったことは想像がつく。

「……私は手札から、幻創のミセラサウルスの効果を発動。このカードを捨てることで、このターン私の恐竜族モンスターは相手プレイヤーのあらゆる効果を受けない」

 様々な恐竜の特徴を組み合わせたような化石の生物が、赤い目を光らせて半透明のオーラを放つ。その姿はすぐに幻想となって消えていったが、放たれたオーラはいまだ兜のフィールドに残存している。これでほんの1ターン限りとはいえ、エフェクト・ヴェーラーや幽鬼うさぎといったカードの心配をせずに動くことができる。

「先攻1ターン目から完全耐性の付与か。随分と贅沢な使い方だな」
「私がこのカードを使ったのは、この効果に繋げるためだ!墓地に送られたミセラサウルスの、更なる効果を発動!このカードを含む恐竜族を墓地から任意の枚数だけ除外することで、その合計数と等しいレベルを持つ恐竜族モンスターをデッキから特殊召喚する。私の墓地に存在するのはミセラサウルス1枚、よってレベル1の恐竜族を呼び出す。現れろ、珠玉獣−アルゴザウルス!」

 珠玉獣−アルゴザウルス 攻0

 ミセラサウルスの残したオーラを鎧のようにしてその全身を包む、まるでビーズ製であるかのように大量の球体の集合によって形作られたワニ型生物。しかしこれは人工物などではなく、れっきとした恐竜である。

「アルゴザウルスが場に出た際、その同名カード以外の恐竜族
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