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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン29 雷鳴瞬く太古の鼓動
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口から吐き出した紫の炎が、モラルタのカードを容赦なく焼き尽くす。それだけでは収まらないその余波が、兜の体をも焼きにかかる。

 覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800→???
 兜 LP4000→3000

「ぐう……!」
「まだだ。続けて超雷龍に攻撃、もう1度効果を発動する」

 またしても自由意思があるかのように伸びたその尾が、焼かれていくモラルタの隣にあったカードを串刺しにする。喉元を貫いたその先端が後頭部から貫通した超雷龍の姿が映し出されるも、それもまた消えていく。

 覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800→???
 兜 LP3000→2000

「縄張恐竜に攻撃、効果発動」

 さらに隣のカードに向け、スターヴ・ヴェノムがその片腕を伸ばす。するとその腕からは茨のような無数の触手が伸び、獲物を捕らえた蛇のように裏側のカードに巻き付いたかと思うとなんのためらいもなくそれを締め潰した。

 覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800→???
 兜 LP2000→1000

「私の、カードが……!」
「……さて、いよいよ次が最後の攻撃なわけだが。何か言い残したことはあるか?」

 最後の攻撃宣言の前に1度手を止めるが、兜は答えず鳥居を……正確にはその後ろにあるドアをじっと見ていた。おかしい、いくらなんでも時間がかかりすぎている。警報は送ったというのに、警備員は何をしている?なぜ、せめて様子ぐらいは見に来ない?
 そんな焦りを、視線の動きから察したらしい。冷笑を浮かべた鳥居がポケットの中に手を入れ、ガサゴソと漁りだす。やがて取り出したのは、財布ほどの大きさの機械。乱暴に引きちぎられたのか、コードの切れ端が伸びている。

「もしかして、探しているのはこれか?あいにくだが、警報装置はここに来る前に無力化させてもらった」

 そういって床に放ったそれを、すぐさま踏み潰す。土壇場で助けがやってくるという最後の希望さえ目の前で潰え、急に視界が下がった。これまでに受け続けた3000ポイント分の実体化したダメージのせいもあり、立っていられるだけの力が抜けてその場に膝をついていたのだと理解できるまでには、少し時間がかかった。本来ならばそれを支えてくれたであろう究極伝導恐獣も、今はもう動けない。
 そして、最後通告が放たれる。

「攻撃、そして効果発動。最後のな」

 それまで本人は動かぬままに触手や炎で攻撃を仕掛けていた覇王眷竜が、ついに宙に舞った。鉤爪を閃かせ、最後のカードへと強襲をかける。ライフが0になるよりも先に、兜の意識は消えていた。

 覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800→???
 兜 LP1000→0





「クソッたれがぁ……あー面倒くせぇ、まったくもって面倒くせえ!」

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